高齢者、キーホルダーで見守る 身元確認用に今秋から配布

 秦野市は11月から、緊急時に身元や病歴が確認できる「見守りキーホルダー」を認知症や持病のあるお年寄りに配布する取り組みを始める。外出先で帰り道を思い出せなくなったり、突然倒れたりした場合、キーホルダーを見て連絡してきた警察や消防、医療関係者らに、地域包括支援センターが事前に登録された個人情報を提供する仕組み。秦野市が参考にした東京都大田区の高齢者見守りキーホルダー。表に登録番号、裏に地域包括支援センターの連絡先が記されている。

 市は2018年度一般会計当初予算案に関連事業費として164万円を盛り込み、約300人に配布する。配布対象は65歳以上で、主に認知症で徘徊(はいかい)の恐れがある人や持病がある人。

 キーホルダーは縦2・5センチ、横6・5センチの大きさで、所有者ごとの登録番号と担当する地域包括支援センターの電話番号が記されている。プライバシーに配慮し、名前や連絡先などの個人情報は記されていない。利用者は緊急連絡先や病歴、かかりつけの医療機関などをあらかじめ登録する必要がある。

 認知症の人は警察に保護されたときに名乗ることができずに身元特定に時間がかかるケースが少なくないという。高齢者が急病で倒れて病院に搬送されても、意識がなければ持病の有無などを本人から確認できない。市は今後、警察や医療機関などに事業について周知する。

 同市の高齢化率は17年1月現在で27・7%と県内18市で7番目に高い。市高齢介護課は「来年度以降は配布数を増やし、千人以上を目標にしたい」と話している。同様の事業は相模原市、清川村などでも行われている。

© 株式会社神奈川新聞社