スマートフォンの台頭などで受注減少、群馬の(株)タカハシ工業が破産

(株)タカハシ工業(TSR企業コード:270305610、法人番号:6070001014375、佐波郡玉村町南玉654-2、設立昭和61年4月、資本金6000万円、髙橋照彦社長、従業員25名)は3月2日、前橋地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には丸山和貴弁護士(丸山法律事務所、前橋市大手町3-17-20、電話027-231-3507)が選任された。
 負債総額は債権者126名に対して約19億7000万円。

 昭和54年5月に創業。当初はプラスチックの塗装業務を中心としていたが、プラスチック機構部品の金型、成形、塗装、印刷、真空蒸着、メッキ、組立など一貫生産体制を確立してきた。従来の自動車部品に加え、平成8年頃からNTTドコモ、J-PHONEを中心とした携帯電話機向けをスタートして事業規模を拡大。本社工場ほか、10年9月に総額5億円を投下して静岡掛川工場、13年4月には総額15億円を投下して静岡森工場を開設し生産体制の強化に努めた。
 投資効果とともに受注動向が好調に推移し、13年6月期には売上高約25億円を計上。しかし、その後はスマートフォン市場の台頭、海外生産へのシフトなどで携帯電話機向けの受注が大きく後退し、24年6月期以降の年間売上高は10億円を割り込んでいた。
 パチンコなどの遊戯機器部品、自動車部品、住宅関連部品へシフトして業容維持に努めてきたが、28年9月期は携帯電話機部品の撤退に伴って売上高が3億8903万円まで低下。29年6月期は遊戯機器部品の受注増、自動車部品で新規先の獲得があり、売上高は6億1453万円にまで回復したが、不良品の発生などを要因として営業損失861万円を計上し、厳しい状況が続いていた。
 債務免除や為替差益の計上などで、ここ数期は黒字を維持していたが、過去の赤字から債務超過に陥り、また積極的な工場開設に伴う設備資金を中心に、29年6月期の借入総額は20億円にのぼっていた。
 取引行への借入金返済のリスケジュール要請などで凌いできたが、30年6月期に入っても業績が好転せず、借入返済のめどが立たないことから、今回の措置となった。

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