音楽教室から徴収容認 著作権料で文化審議会

 音楽教室の運営団体などでつくる「音楽教育を守る会」が、日本音楽著作権協会(JASRAC)による著作権使用料徴収の保留を求めていた問題で、文化庁長官から諮問された文化審議会は5日、徴収開始を認めるよう答申した。一方で両者の訴訟が続いていることを踏まえ、判決確定までは係争中の音楽教室に対し「適切な措置」を取るようJASRACに求めた。宮田亮平長官が今週中に裁定を出す見通し。

 答申は徴収開始を認める理由について、使用料規定が届け出制であることや、訴訟終了まで徴収を保留する事態を法が予定していないことなどを挙げた。教室での演奏が著作権の保護対象になるかは判断しなかった。JASRACには「社会的混乱を回避するため」として、係争中の教室に手続きの督促などをしないよう配慮を求めた。

 守る会はヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などで結成。昨年6月、JASRACに徴収権限がないことの確認を求め東京地裁に提訴した。さらに司法判断確定までは徴収を保留するよう求め、同12月に文化庁に裁定を申請。JASRACは今年1月に開始予定だった徴収を先送りしている。

 答申を受け、守る会は「使用料徴収の是非について踏み込んだ判断をしてもらえず、大変残念」とのコメントを出した。JASRACは「文化庁長官が最終的に判断し、裁定として正式に示されていない現時点ではコメントできない」としている。

© 株式会社神奈川新聞社