福江幼稚園、閉園告げる風船ふわり熊本へ 拾った保育士から手紙

 今月末で83年間の歴史に幕を下ろす長崎県五島市木場町の市立福江幼稚園(堤智代子園長、22人)で2月24日にあった閉園イベントで園児や卒園生らが飛ばした風船が熊本市に“上陸”した。風船を拾ったのは同市在住の女性保育士。同じく園児と関わる立場としての心境などがつづられた女性からの手紙が五島市を通じて園に届き、子どもたちや関係者を喜ばせている。

 風船はイベントの最後の午前11時半ごろに「閉園」と記したカードを結び付け約350個を空に放った。女性の手紙によると、同日午後3時すぎに家の玄関先で赤と緑の風船の糸が絡み合って揺れていたという。

 空と雲を背景にした便箋には、女性がかつて旅行で訪れた五島から来たことへの驚きや、熊本でも少子化が深刻なことなどが書かれていた。閉園は残念とした上で「でも、子どもたちはきっと温かい思い出としていつまでも心に残っていくことでしょうね。ご苦労様でした」とつづってある。

 手紙は25日付で今月2日に園へ渡った。まだ船で海を越えることしか知らない園児は風船が届いたことに不思議がり、大喜びしたといい、女性にお礼の手紙を送る予定。通算23年間勤務した堤園長は「涙が出た。最後のすてきなプレゼントになって感無量。風に感謝です」と笑顔で話した。

 同園は市唯一の公立幼稚園で、1935(昭和10)年に開園。園児減少に伴う行政改革で、新年度からは民間移譲される。

女性からの手紙を手にする園児ら=五島市立福江幼稚園

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