長崎・新幹線建設現場の防空壕 市「保存困難」姿勢崩さず 議会教育厚生委

 長崎市議会教育厚生委員会は7日開き、九州新幹線長崎ルート建設現場で確認された防空壕(ごう)群の保存と活用を求める陳情を審査。市側は、長崎原爆被害の痕跡がないことなどを理由に「保存は難しい」とする姿勢を崩さなかった。委員からも「あえて残す必要性を感じない」と否定的な意見が上がった。

 陳情したのは、現場付近のまちづくりに取り組む「西坂・銭座小学校区勤労者協議会」の3人。中村住代会長は、原爆投下時に市民が避難や救護活動をしたとして「被爆建造物」に当たると主張。保存し平和教育に活用すべきと訴えた。

 委員の1人は一部保存を求めたが、別の委員は市内に防空壕が点在しているのを踏まえ「ここだけが特別ではない。残す意味が感じられない」と指摘した。

 市側は、現場の家屋解体工事で表面に露出した壕11カ所の調査時に、付近で新たに4カ所を確認したと報告。いずれも原爆被害の顕著な痕跡は無く、原爆被害を調査した文献にも記載されておらず、「被爆建造物としての保存対象と考えていない」との見解を示した。工事発注元の鉄道・運輸機構九州新幹線建設局からは「(15カ所とも)残すのは難しい」と回答されたという。

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