神戸製鋼のアルミ・銅の品質不正、再発防止へ最大200億円投資

 神戸製鋼所は品質不正の再発防止に向けアルミ・銅事業部門の10事業所で最大200億円を投じ、製造・検査設備や品質管理に関わるシステムを増強する。期間は2019年度までの3カ年。工程能力と受注のバランスが適切でなかったことや、改ざん可能な検査プロセスがあったことなどを不正原因として挙げており、恒久的な対策のため100~200億円を投資する計画となっている。

 アルミ板を生産する真岡製造所(栃木県真岡市)は連続焼鈍炉のレベラーを改善するほか均熱炉を増強。検査データ自動取り込みや工程能力監視システム構築も進める。アルミ鋳鍛造品の大安製造所(三重県いなべ市)では熱処理炉の温度分布を安定化させるほか、検査データの取り込み自動化やミルシート管理サーバーの監視システム構築にも取り組む。

 長府製造所(山口県下関市)ではアルミ押出工場で押出加工時の温度を安定化するほか、工程能力の可視化システムを構築。銅板工場では熱処理炉の温度分布や、熱間圧延の温度・ひずみ制御を改善。さらに検査データ取り込み自動化や工程・品質情報の一貫管理システムを導入する。

 銅管ではコベルコマテリアル銅管秦野工場(神奈川県秦野市)で熱処理炉の温度分布や押出プレスの冷却制御を改善。併せて検査データの取り込みと出荷可否の判定を自動化する。またタイとマレーシアの銅管子会社では検査データの取り込み自動化に加え、試験設備にてこ入れする。併せて銅合金管などを製造する神鋼メタルプロダクツや神鋼アルミ線材、中国の銅条スリット加工拠点である蘇州神鋼電子材料でも再発防止のため投資する。

© 株式会社鉄鋼新聞社