ナックルでMLB復帰狙う元オリ左腕 きっかけは日本「すごく効果的だった」

21017年にはオリックスに在籍したフィル・コーク【写真:荒川祐史】

初めは日本での投球練習で試投、その変化にブルペン捕手は「僕を殺す気か」

 昨季オリックスでプレーしたフィル・コーク投手が、ナックルボーラーとしてメジャー復帰を目指している。メジャー通算407試合登板と豊富な経験を誇る左腕だけに、米メディアもこの“モデルチェンジ”を大きく取り上げているが、きっかけは日本時代の投球にあったという。米メディア「ジ・アスレチック」が伝えている。

 オリックスではわずか6試合登板で2勝3敗、防御率4.56という成績に終わり、1年で退団となったコーク。現在FAとしてメジャー復帰を模索しており、米フロリダ州ブラデントンで行われている未契約FA選手のスプリングトレーニングに参加しているという。「ジ・アスレチック」は、そんな左腕のロングインタビューを紹介。ナックルボーラー“転向”の経緯、そして、日本で掴んだ手応えについて明かしている。

 まずはナックルボールを投げ始めた経緯について、コークは「11歳の時にナックルの投げ方を教わったんだ。いつか何かの拍子に必要になることがあるかもしれないと常に思っていたよ」と回顧。実は幼少期から“持ち球”だったというが、それを昨年、日本で「ランダムに」試し始めた。手応えは十分だったようだ。

「ブルペンで投げていて、捕手に(ナックルが)どんな風か見せる機会があったんだ。たくさん動きがあるかどうか、自分の目で確かめたかったんだ。実際かなり良く動いていたよ。そして、ブルペン捕手があまり上手くなかったんだけど、彼は10球もしないうちにこう言ったんだ。『やめてくれ、君は僕を殺す気か! 死にたくないんだ』。もちろん、その会話も通訳を介してだったんだけど、とても面白かったよ」

オープン戦では巨人マギーに対して投げ「彼は少しイライラしていた」

 その後、日本でのオープン戦では実際にナックルを試す場面も。「初めて投げたのはケーシー・マギー(巨人)だったと思うよ。彼は(ナックルに)少しイライラしていたよ。彼はチームメートたちに『あの球は何だった?』と聞かれていて、彼らはみんな混乱していた。そして、彼は身振り手振りでナックルボールをベンチに向かって伝えていたんだ。とても面白かったよ」。実戦でも武器になると、この時に確信したようだ。

 昨シーズン、ナックルボールを投げる頻度は「捕手に委ねられていた」と振り返るコーク。日本では「直球、チェンジアップ、ツーシーム、カーブ」を基本に組み立て、「ナックルは楽しみとして投げていた感じ」だったというが、米国ではこの“魔球”を大きな武器として、再びメジャーの舞台を目指すことになる。

「対戦した選手たちからは良い感想をもらっているよ。(驚きで)声をあげる選手も実際いたんだ。なぜなら彼らは、自分が死球を投げてくると思ったから、消極的なスイングになっていたんだ。最終的にボールは真ん中に決まる。でも、ボールがリリースされた時は彼らの方に目がけて向かっているように見えて、そこからホームベースの真ん中にシフトしていくんだ。ポップフライになろうが、空振りになろうが、すごく効果的だったよ」

 コークはインタビューの中で、自身のナックルに確かな手応えを示している。どこかの球団の目に留まれば、面白い存在になるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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