ワイパーゴム切断被害多発 目的不明「事故心配」

 横浜市戸塚区の住宅街で今年に入り、車のワイパーに取り付けられたゴムが切られる被害が相次いでいる。戸塚署が器物損壊事件とみて捜査するとともに、不審者への警戒を呼び掛けている。

 同署によると、1月上旬から2月下旬までに、少なくとも7件(8台)の被害を確認。発生場所は、栄区境に近い戸塚区戸塚町の半径約200メートルのエリアに集中している。いずれも鋭利な刃物のようなもので、フロントガラスに接するゴムが切り取られるなどし、後部ガラスのワイパーも被害に遭ったケースもあった。

 ゴムが切られてもワイパー自体は動くが、ガラスに付着した水分や汚れを除去する機能が低下し、雨天時の運転で視界不良を招く恐れがある。

 同署は「ワイパーのゴムを切り取る事案はこれまで聞いたことがない。悪質な嫌がらせだと思うが、何の目的でこんなことをするのか分からない」といぶかしむ。大手カー用品店の担当者は「ガラスに接触するゴム部分は細くなっていて、構造的には手でも簡単にちぎれるくらいの強度」と指摘する。

 被害が多発する地域の住民には不安やいらだちが広がっている。1月に送迎用のワゴン車3台が被害に遭った介護施設の男性職員(34)は「施設利用者の移動に使う大切な車。視界不良で事故でも起こしたら大変なことで、いたずらでは済まされない。いいかげんにしてほしい」と怒り心頭。やはり1月にフロントガラスのワイパーのゴムを切り取られた40代の女性は「いったい誰が何のためにやっているのか」と戸惑いを隠せない。

 同署は2月下旬から、注意を促すチラシの配布を開始。不審者を見つけたらすぐに通報するよう呼び掛けるとともに、巡回活動を強化している。同署幹部は「住民の生活不安に直結する事案。周辺の警戒に努めたい」と話す。

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