調査や冷静な考察が高評価 国交省の土砂災害防止作文で平石さん最優秀賞

 「土砂災害犠牲者ゼロ」をテーマに相模原市内の小学生が書いた作文が、国土交通省主催のコンクールで最優秀賞(国土交通大臣賞)に輝いた。8日に同市役所で表彰状が伝達授与された。新聞報道で九州北部豪雨の被害状況を知ったことを契機に、地名の重要性や地元の土砂災害ハザードマップを入手して調べた内容など、冷静な考察をまとめた点が評価された。

  受賞したのは、同市立並木小学校6年、平石翔大さん。全国の小学生から募集した土砂災害防止に関する作文の部で、386作品の中から選ばれた。

 平石さんは、新聞で土砂災害に多くの人が苦しんでいることを知り、「どうしたら被害を防ぐことができるのか。自分も関われないか」と考え、調べたことを作文にまとめ、応募した。

 昨年7月の福岡県朝倉市を中心とした九州北部豪雨被害(死者36人)や、2014年8月の広島市土砂災害(死者77人)の被害状況をまとめ、自宅近くの避難場所を調査。図書館で古地図を探し、市危機管理課の担当者を訪ね、市内の土砂災害ハザードマップを入手した。

 「急傾斜地の崩壊」「土石流」の分類を知ったことや、広島市の被災地では地名の変遷に触れ、「昔の人が谷底だから危ないと地名で教えていた場所で災害が起こってしまった」と考察も記されている。

 同席した父の博康さん(59)、母の理絵さんによると、子ども新聞を読みながら朝食を食べるのが日課だといい、「理解して読み取り、それを文章にまとめるのが大変だった」と平石さん。同席した担任の山田雅人教諭(36)は「真面目に取り組み、興味を持ったことに一生懸命なところが今回の作文につながったのでは」と評価した。

 野村謙一教育長は「興味を持ったことに自ら行動した力に感心した。ぜひ、災害の分野も含め自然科学の興味を深めてください」とたたえた。

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