金属行人(3月9日付)

 「荷降ろしする際のリフトの使用時刻が決められているケースもある」と、ユーザー筋に近い現物問屋の社長。切断など加工して納めるが、こうした「予約制の荷降ろし」は案外多いらしい。日々の物流量もかなり多く、タイムリーな納品が要求される生産現場。「予約に遅れたら、後回しになる。待ち時間が増え、時間的にかなりのロス」とも▼同じくユーザー筋に近い現物問屋の首脳の弁。「納品の際は『重量が20キログラム以下となるように箱詰めしてほしい』との顧客ニーズ。理由を聞くと『重過ぎると、納入先の現場スタッフが重くて持てない』との答えが返ってきた」▼過去からの商慣習で珍しくもないような話かもしれないが、人手不足、運転手不足が顕在化する中で、近年これらを問題視する声が強まっている。特にリフトの話は「誰がリフトを操作するのか」ということとも関わる。納品者側が操作すれば「労働災害」「使用者責任」という部分にも関係してくる▼世の中は絶えず変化し、当たり前だったことが問題視されるケースも増える。残業規制などもそうだろうか。先日は「残業時間を減らすと、現場が『もっと仕事をさせてくれ』と漏らす。気持ちはよく分かり、感謝もするが、やはりそういう時代だからね」との話。

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