救急車を年10回以上利用した人へ戸別訪問 横浜市消防局、適正利用に効果

 横浜市消防局は9日、年10回以上救急車を利用した人への戸別訪問を2017年度から始めたことを明らかにした。体調や生活状況を確認し、区の福祉や介護担当と連携して対応することで、救急車の適正利用に効果が出ているという。

 同局によると、16年に10回以上救急車を利用した人は168人。救急活動記録や出動隊員からの情報分析を基に、昨年8月から慢性疾患などやむを得ないケースではないとみられる59人を対象に、各消防署の幹部が戸別訪問などを実施した。

 対象者の中には「夜中にベッドから落ちた」「起き上がれない」などの理由で救急車を利用した1人暮らしの高齢者も多く、戸別訪問で本人や家族と対話し、現状を確認。了解を得た上で区の福祉担当者らと連携して対応した結果、この168人による救急車の利用回数が16年の計2945件から、17年には1337件と半減以下になったという。

 高齢化の進展で市内の救急出動回数は増加傾向にあり、救急車の適正利用が求められている。同日の市会予算第2特別委員会で民進党の酒井亮介氏の質問に、坂野満消防局長は「救急車は限りある資源。必要に応じて区役所の協力を得て、適正利用への理解を呼び掛けていく」などと答えた。

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