東日本大震災から7年 「音楽で心に笑顔を」 洗足学園音大で続く支援 川崎市高津区

昨年南相馬市で開催したチャリティーコンサート

 東日本大震災から3月11日で7年を迎える。久本にある洗足学園音楽大学は、講師と学生による演奏を通じた復興支援活動を震災直後から行ってきた。

 同大学は洗足こども短期大学の教員と2011年4月に「被災地支援推進チーム」(現・洗足学園音楽大学被災地支援推進委員会)を結成。12年から教員主体のチャリティコンサートを大学のホールで6回、13年から被災地で学生有志主体のチャリティコンサートを5回開催するなどしてきた。

 開設当時から携わり、委員長を務める石井喜久子教授は「音楽はまだ求められていないのではないのか、そんな状況から始まりました」と当時を振り返る。

 被災地での演奏会は、会津若松市、いわき市、相馬市などで開催してきた。毎回、学生が舞台を降りて会場全体で合唱をする。観客の中には握手を求めてくる人、一緒に踊る人もいた。

 「この演奏会でもらう拍手は特別」と石井教授。委員のひとり、原朋直教授も「学生たちのベストを尽くして上質な音楽を届けようという気持ちは伝わっているのではないか」と話す。

「演奏で元気出た」糧に

 今年度、学生リーダーを務めた佐藤寛人さん(管楽器コース4年)は1年生から活動に参加している。佐藤さんは塩釜市出身。震災当時、自宅1階が浸水する津波の被害を受けた。

 初めて参加した相馬市でのコンサートでは、来場者から『元気になった』という言葉をもらい、「音楽が必要とされている」と感じたという。これを機に、佐藤さんは、3年前から地元、塩釜市で自ら演奏会を企画し仲間と共に開催している。

 昨年の演奏会は3月11日に行い、来場者から『3月11日に、心穏やかな気持ちでいられた』と感想が寄せられた。「やる意味があったと感じた」という。

 佐藤さんは今年も3月11日、塩釜市でコンサートを開催する。

 石井教授は「心の栄養を求めている人は多いと感じる。音楽の支援はこれからだと思っている」と話す。

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