働く喜び、社会の仕組み学ぼう 29日から「Kidsジョブチャレンジ」 平戸 ホテルフロントや和菓子職人など体験

 長崎県平戸市は、子どもが多種多様な職業体験を通じて働く喜びや社会の仕組みなどを楽しく学ぶ大型イベント「Kids(キッズ)ジョブチャレンジ2018in平戸」を29日から3日間展開する。あこがれの職業を体験できる東京のテーマパーク「キッザニア」が監修。応募した県内外の5歳~中学3年と保護者約3300人が参加する。市は「平戸の仕事の魅力を発信したい」としている。

 キッザニアのテーマパークには、新聞社や裁判所などを模した施設があり人気。監修する地方イベントも好評で、九州では佐賀県で昨年開催。市単独の開催は九州では今回が初めて。

 同市は、市内事業者の協力を得て、ホテルのフロント、平戸城受け付け、消防士、介護士、すし、パンや和菓子の職人、花屋、病院、春日集落の棚田を守る農業体験など約50種類の職業体験を用意。1体験当たり1~1・5時間程度で、子どもらは移動しながら好きな体験をしていく。短期間にさまざまな職業体験ができるのが人気の秘密だ。

 時間内は責任を持って仕事し、「自分でやり終えた」という達成感を得てもらう。働いた対価は、1体験200円分の専用通貨「フィランドル」が子どもに支払われ、参加店舗などで買い物もできる。

 同市は、高校を卒業すると9割以上が就職などで市外に流出。平戸を含む江迎公共職業安定所管内の有効求人倍率は1・42倍(1月末現在)で、市内では常に働き手が不足している状況だ。今回のイベントでは、子どもに地域の仕事の魅力を伝えて将来を担う人材確保に寄与すると同時に、観光活性化も狙っている。

 受け入れ側の各事業所向けに7日から2日間、キッザニアの担当者が説明会を開催。担当者はホテルにも出向き、フロントの仕事の姿勢やこだわりなどが子どもに分かりやすく伝わるよう従業員に指導した。

 観光ガイド希望の子どもを受け入れる予定の平戸観光協会の松瀬千秋さん(34)は「幼い子どもにどこまで対応できるのか不安はあるが、仕事の魅力や人に喜んでもらえる仕事のやりがいを伝えたい」と話した。

従業員に参加する子どもへの対応の仕方などをアドバイスするキッザニアの担当者(左)=平戸市大久保町、平戸海上ホテル

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