和菓子文化、郷土に根付け “菓道家”写真集、横須賀市に寄贈

 横須賀市衣笠栄町の老舗和菓子店「いづみや」の3代目店主で、“菓道家”として世界的にも活躍する三堀純一さん(43)が6日、同市役所を訪れ、1月に出版した自身の作品や和菓子の魅力などを紹介する初の写真集100冊を市に寄贈した。市立学校の図書館などに置かれる予定で、三堀さんは「横須賀の子どもたちにこうした文化があることを知ってほしい」と話した。

 寄贈したのは写真集「KADO−New Art of Wagashi−」(カドウ・ニューアート・オブ・ワガシ)。84ページで、最も得意とする「煉切(ねりきり)細工」を中心に、繊細で美しい和菓子の世界をオールカラーで紹介している。芸術的な作品の数々や、細かい細工をするために自ら考案した「針箸」などの道具も解説されている。

 三堀さんは上地克明市長に写真集を手渡し、和菓子を作るパフォーマンスを披露した。三堀さんは「和菓子に憧れを持った子どもたちが育って、この文化を継承してもらえれば」とあいさつ。上地市長も「素晴らしい。和菓子という芸術文化を通じて子どもたちへの夢のある心の教育に寄与された」と述べ、感謝状を手渡した。写真集は市立学校のほか、市立図書館にも配布される予定。

 日本スイーツ協会の理事も務める三堀さんは横須賀生まれで現在も市内に暮らす。2010年にテレビ東京の「TVチャンピオンR 和洋菓子職人選手権」で優勝し、15年には茶道と同じくおもてなしの精神を持って菓子を創作し振る舞う「菓道」を提唱。「この世界に夢を持ってもらえるような見せ方をしたい」と、昨年は豪・シドニーのオペラハウスで創作パフォーマンスを行うなど、和菓子の魅力を発信しようと世界を飛び回っている。

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