クラゲでストレス緩和?新江ノ島水族館ら共同調査開始 厚木市

クラゲが入った水槽が設置されているクリニック1階。平常時と5分間クラゲを観賞後に血圧と脈拍を測り、差を調べる

 水生生物を観賞することで、人間のストレスが緩和されるのか――。社会医療法人社団 三思会とうめい厚木クリニック(山田拓司院長/市内船子)は、新江ノ島水族館(藤沢市)と共同で、クラゲを活用したストレス緩和の調査を、このほどスタートさせた。

 神奈川県が推進する「未病」の取組みに賛同する同法人が、調査を通じて来院者に健康について関心を持ってもらおうと、アクアリウム業界の協力も得て企画。高血圧の原因はさまざまあるが、ストレスが原因の一つとなっていることが医学的に証明されている。ストレスの緩和をデータとして測定する方法として、クラゲを観ることで血圧に生じる変化を測定する。

 その方法の一つとして、水生生物の中でも「癒し効果が高い」とされるクラゲを観賞することで、癒しの効果が得られるかをデータ化し、結果の公式発表をめざす。将来的には、がん患者などの緩和ケアにつなげる狙いもある。

 2月15日、クリニック1階の受付待合周辺に、新江ノ島水族館から無償で提供されたミズクラゲが入った水槽2つを設置。平常時と、5分間クラゲを観賞した後の血圧と脈拍を測り、調査シートに記入する。調査は匿名だが、年齢や性別、体型や喫煙の有無、塩分摂取量などの問診が用意されている。趣旨を理解し、調査に協力できる人なら、開院時間内であれば誰でも受けられる。調査は8月31日まで行われ、同クリニックでは延べ1000人のデータを収集したい考え。

 調査開始から2週間が経過し、30人程度が協力。クラゲを観賞後、実際に血圧が下がったり、「リラックスできた」と回答する人も多いという。

職員が世話繁殖にも成功

 今回の共同調査は、古くからクラゲの飼育・研究を手がけ、世界一美しい展示をめざす同水族館に、同法人が協力を依頼して実現。

 法人内にはアクアリウムサークルがあり、医師や職員など18人が所属する。クリニック受付の待ち時間対策として設置した水槽で、熱帯魚の世話をするなど活動している。

 調査用のミズクラゲの世話も、同サークルに所属する有馬義裕さん(情報システム課)が中心になって行っている。2日に一回のエサやりや、水質の管理方法など、同水族館へ行って、ノウハウを学んできた。クリニック内でクラゲの「ポリプ」からの繁殖にも成功した。有馬さんは「水生生物が好きなので、世話をしていて大変だと思ったことはない」と目を細める。

 全国の水族館を回り、自宅でも熱帯魚などを飼っているという山田院長は「来院された方に見てもらえるだけでありがたい。少しでもリラックスしてもらえたら」と話した。

新江ノ島水族館から無償で提供されたミズクラゲ
クラゲの「ポリプ」を見守る有馬さん

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