WRC:トヨタ、3番手走行のタナクにもトラブル発生。マキネン「この困難から学ばなければならない」

 WRC世界ラリー選手権第3戦メキシコは3月10日、競技3日目のSS11~19が行われ、TOYOTA GAZOO Racing WRTはヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合9番手、エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合12番手につけた。前日のデイ2で総合3番手となったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)はマシントラブルによってデイリタイアを喫している。
 
 デイ1を3台全車がトップ5圏内で終える幸先の良いスタートを切ったトヨタ。しかし、翌9日のデイ2ではラッピがクラッシュによってデイリタイアとなり、ラトバラもオルタネーターのトラブルで同日の走行を諦めざるを得なくなってしまった。
 
 一方、チームで唯一残ったタナクはマシンをマネジメントしつつ徐々にペースを上げ、総合3番手で競技2日目を終える。
 
 引き続き摂氏30度近い気温と標高の高い山岳地帯での戦いとなったデイ3。後半の出走順となるタナクはポジションアップを目指してこの日最初のステージとなるSS11に挑んでいくが、ステージ途中でターボチャージャーにトラブルが発生。
 
 スローダウンを余儀なくされ、トップから2分以上遅れてフィニッシュすることに。その後タナクはSS12が始まる前にデイリタイアとなっている。
 
 表彰台争いから脱落することとなったトヨタ勢だが、チャンピオンシップポイント獲得のため再出走を果たしたラトバラとラッピの両名はこの日行われた合計9本のSSを完走。
 
 ラトバラは出走2番目、いわゆる“掃除役”を務める苦しいスタート順ながらステージ3番手タイムを2度マークするなど速さをみせ、ポジションを総合9番手まで回復させることに成功する。
 
 また、ラッピも2番手タイムを2回記録するなど、初めての参戦となるラリー・メキシコでの経験を着実に積み重ねながら総合12番手で3日目の走行を終えた。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
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エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)

「ラリー・メキシコは、我々にとって非常に難しい1戦になっている」と語るのはTOYOTA GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン代表。

「今朝、オット(・タナク)はとても良い位置につけていたので、あのようなことが起きてしまい全員が残念に思っている。引き続き一生懸命作業を続け、困難から学ばなければならない」

 デビューシーズンの2017年と同様に厳しい戦いを強いられているが、マキネンは「オットのパフォーマンスがチームにとってポジティブな材料になっている。ヤリスWRCについてまだ学んでいる段階であるにも関わらず、今年初めて臨んだグラベルラリーで非常に速かったという事実は今後に期待を抱かせるものだと考えている」と述べた。
 
 またタナクも「僕らのクルマはコースにとても合っているように思えた。最初のSSの序盤、ジャンクションでミスをして約10秒失ったが、調子が良かったのでその後も攻め続けられたんだ」と語り、「(トラブルは残念だが)十分な競争力を確認できたことはうれしく思う」と続けている。
 
 タナクに代わりトヨタ勢最上位となったラトバラは「今日の午後は過去もっとも暑かったように感じられ、クルマとタイヤにとって苛酷な1日だった。しかし大きな問題はなく全体としては安定して走れたと思う」と戦いを振り返った。
 
 前日、崖下に転落するクラッシュを喫したラッピは「今朝は楽しんで運転することができ、タイムも昨日より良くなった」とコメント。
 
「クルマをきちんと直してくれたメカニックに本当に感謝している。パワーステージではポイント獲得を目指して戦いたい」と意気込みを語った。

 WRC第3戦メキシコ最終日、デイ4はSS20~22の3ステージで争われるが、最終SS22はステージ上位のドライバーにボーナスポイントが与えられるパワーステージに設定されている。3本のSSの合計距離は46.46km、リエゾン(移動区間)を含めた総走行距離は210.18kmだ。

エサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)
オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)
ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

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