全国でも4例の鉄製鍋を平塚市重要指定文化財に追加 平塚市

重要文化財に指定された把手付き片口鍋

 平塚市教育委員会は先月26日、市指定重要文化財に文化財1件を追加した。追加されたのは「把手(はしゅ)付き片口鍋他 真田・北金目遺跡群18A区(大久保遺跡)3号竪穴住居跡出土資料一括」。鉄製の片口鍋のほか、土師(はじ)器や須恵器、灰釉(かいゆう)陶器が含まれている。

 指定された文化財が出土した真田・北金目地区の遺跡群では、特定土地区画整理事業に伴い1995年〜2013年に発掘調査が実施され、縄文時代から近世に至る集落跡等が発見されている。

 把手付き片口鍋は、鉄製で傷みやすいなどの理由から、多賀城や秋田城など、全国でも4例しか確認されていない貴重なもの。征夷事業に関わる軍隊の決まりごとを記した『軍防令』の中で、軍の携行用の鍋として規定されている。蝦夷遠征の際、相模国には徴兵ではなく防寒用の綿の献上が命じられたことから、綿を届けた者が、鍋を持ち帰った可能性のほか、国府があったことから物品が流通しやすい環境だったことも考えられる。

 文化財は8月下旬に平塚市博物館で特別公開される予定だ。

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