花粉症と防災・減災の一挙解決!危険なブロック塀を杉の塀に変えよう! 危険なブロック塀を減らす解決策3つ

ブロック塀、撤去したいけれど・・。猫も心配してる?(画像:Photo AC)

暖かい春のお散歩したくなる陽気とは裏腹に、このシーズンを苦々しく思う花粉症の方は多いのではないでしょうか?

■西・東日本の花粉飛散開始は2月上旬、ピークは3月上旬を予想
https://weathernews.jp/s/topics/201801/230115/

花粉症の中でも代表的なのがスギ花粉症。昨年出された東京都の調査では、都民のうち、48、8%がスギ花粉症有病率(推測)と発表されました。実に、半数近くがスギ花粉症!

写真を拡大 出典:花粉症患者実態調査(平成28年度)概要版(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/18/documents/14_01.pdf

そして、こちらの図をご覧ください。都に希望する花粉症対策として、「花粉症の根本的な治療方法の研究を推進する」の次に多かった項目が「スギ林等の伐採や枝打ちで飛散する花粉の量を減らす」です。

出典: 花粉症患者実態調査報告書(平成28年度)(東京都福祉保健局)http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/12/18/documents/14_02.pdf

花粉症患者として、とにかく根本原因である「杉を減らして!」というのは切実な願いです。秋でもないのに山が一面、赤茶色に色づいて、服やクルマに黄色い花粉がべったりつくのを目にすると、患者が増えて当然!杉自体を減らしてほしいと思いますよね。

他方、地震の際、倒れてくる危険のあるブロック塀がいかに身近に多いか、こちらで書きました。

■町中で、防災を意識しない人には見えない、意識した人にだけ見えるミステリーゾーン?ブロック塀は、机の上に置いた板チョコのように板状で倒れてくるhttp://www.risktaisaku.com/articles/-/1874

出典:東京防災 19P

 地震の際、「ブロック塀に近づかないこと」とか「離れましょう」なんて言われることが多いですが、一瞬で倒れてくるため、何もできないまま下敷きになって命を落とした方がいる現実を直視しなければいけません。

大人でも犠牲になる、危険なブロック塀

熊本地震でブロック塀の下敷きになり、命を落とされた熊本市東区の坂本龍也さんは、当時29歳でした。

■1年半で追悼 ブロック塀の下敷き事故現場 (毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20171014/k00/00e/040/175000c

記事中に「暗闇の中、あっという間にブロック塀が落ちてきた」とあります。29歳の方が逃げられなかったのに、一体誰が倒壊するブロック塀からアクション映画やこどもむけアニメの1コマのように離れたり逃げたりできるというのでしょうか?

危険なブロック塀はあらかじめ撤去する以外に命を守ることはできません。
各地で助成金もでています。

文京区のブロック塀助成 駅などに貼られて告知されている (写真提供:あんどうりす)

しつこいですが、こちらでどんなブロック塀が危険かということと各地の助成を詳しく紹介しています。

ただ、ブロック塀改修の助成があっても、なかなかブロック塀撤去は遅々として進んでいないのが現実です。10万円あれば、10mのブロック塀を撤去できるのですが、助成に上限があったり、全額支給ではない場合も多く、わざわざお金をだしてまで防災のために今すぐ撤去しようと思ってくれる人は少ないのです。震災後には寄付をしてくださる心優しい方々も、地震が起こる前に、ブロック塀を撤去しようと動けないのは、なぜなのでしょうね。

そこでです!

一方で、杉が有効活用されなくて、花粉が飛びまくっているわけです。他方で、危険なブロック塀が放置されている・・・と、きたら、一挙解決をめざしませんか?その名も「ブロック塀を杉の塀に変えるプロジェクト」!

いつ起こるかわからない地震のために、危険なブロック塀を撤去するのが難しくても、今、多くの人が苦しむ杉をなんとかしたい気持ちを原動力に、ブロック塀撤去ができればいいなと思うのです。

実は、杉の有効活用についても、杉の産地などでは、助成金がでているのです。

出典:西川材使用住宅等建築補助金について(飯能市)
https://www.city.hanno.lg.jp/article/detail/1143

出典:西川材使用住宅等建築補助金について(飯能市)
https://www.city.hanno.lg.jp/article/detail/1143

こちらは埼玉県飯能市のもの。木塀と明記してあるのが嬉しいですね。地元の西川材という杉を使って、杉の塀に変えれば助成金がでます。だから、ブロック塀は杉の塀に変えられます。

(東日本大震災直前に、飯能市に「ブロック塀を杉塀に」とプレゼンした際には塀もリフォーム補助金に含まれると回答を得たものの、塀そのもので助成されるか、明記されていませんでした。明記されるように変わっていて嬉しい♪)

難燃処理された杉もでてきていますし、最初から炭化させて、味のある塀にしつつ、燃えにくい塀にすることもできます。

この杉の有効利用と地震のブロック塀撤去は目的が異なるものです。ですので、自治体にもよるのですが、両方の助成金を併用使用することも可能なのです。そうすると、全額補助を受けることも可能になります。

全国で杉の有効利用に取り組んでいる自治体では、ぜひ、地震の際のブロック塀撤去とセットで取り組んでいただきたいです。そうすれば、一挙解決!(国も動いてほしいくらい!)

そうは言っても、ブロック塀撤去助成もなければ、杉の有効利用助成もないという場合のところもあるでしょう。その場合、生垣に変えれば助成される緑化助成が利用できる地域もあります。

住民がブロック塀撤去と生け垣による安全なまちづくりを実現

生垣だと手入れが大変・・・という声もあったりしますが、東京都国分寺市では、地震の報道でブロック塀の危険を理解した住民がブロック塀撤去と生け垣による安全なまち並みを実現しました。地域のみなさんで動くと手入れが大変という相談もしやすくなりますから、素敵な試みですよね♪

出典:塀づくりで守るわがまち防災まちづくり:東京都国分寺市(国土交通省)http://www.mlit.go.jp/crd/townscape/gakushu/data3/kokubunji_hei.pdf

出典:塀づくりで守るわがまち防災まちづくり:東京都国分寺市(国土交通省)http://www.mlit.go.jp/crd/townscape/gakushu/data3/kokubunji_hei.pdf

3つ目に、「ブロック塀撤去の制度はあるけど、周知してもあまり利用されない」という自治体の声があります。他方で、子育て世代で講演すると、ブロック塀が怖いと思っているけど、さすがにブロック塀のお宅を訪問して、撤去して欲しいとは言えないという声があります。

ということで、ここでもマッチングして一挙解決を目指しませんか?

例えばです。推薦制度にするのです。ここを美しく安全にしたいという推薦が5人以上あった場合は、撤去費用の一部免除ではなく、全額免除にするという制度です。ブロック塀が危ないと思っていても、それを通報するのも気がひけるし、通報したところで、行政は持ち主に対し、撤去してくださいとは言えません。でも、推薦制度で全額免除になるのであれば、持ち主にもお得になるので、気軽に推薦することができます。ブロック塀の危険に気づいた持ち主が自分で推薦人を集めるというのも地域づくりになるのでありですよね!行政も、多くの人がどの道を利用し、危険を感じているか、把握することができるようになり、そこから重点的に撤去できるので効率がよいです。誰にとってもwin-winな制度になるのですが、いかがでしょうか?

名付けて「お得推薦ブロック塀撤去プロジェクト」!いかがでしょう?どこかで実現できたらいいのですが♪

最後に、ブロック塀が地震で倒壊した場合、人を傷つけたり、他人の家や壁や物を損傷したケースなどでは、損害賠償責任を負うケースがあります。地震だからいつでも不可抗力といえるわけではありません。新耐震基準を満たせば震度5ではブロック塀は倒れないはずです。そのため、震度5でブロック塀が倒れると、耐震基準を満たしていない過失がありとして責任を負う可能性が高いです。震度6はいままでは不可抗力といえる場合もありましたが、これだけ地震が頻発していると、損害賠償責任を負う可能性が広がると指摘されています。

■地震とブロック塀 補修進めよう 倒壊の責任負う可能性(法テラス) 
http://www.houterasu.or.jp/news/houtekitrouble/page0000173.html

それだけなく、先の熊本地震のブロック塀の倒壊については、「約2メートルの高さの擁壁上に立てられたブロック塀について危険な工作物であり、小規模な揺れでも倒壊することが予想できた」として、ブロック塀の所有者に対し、過失致死傷容疑で県警に告訴が検討されているとのこと。

危険なブロック塀を放置した際、命に関わる取り返しのつかない重大な被害をもたらしますし、民事上や刑事上まで負うかもしれない責任の重さも考えると、事前に撤去する以外の選択肢はないはずです。ぜひ、花粉症対策やまちの景観作りとミックスで、いろいろな制度を組み合わせて、一刻も早く撤去をお願いいたします。

(了)

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