長崎を元気にする きっかけと流れづくりを 里 隆光

 地方創生の動きが全国で活発化している。もちろん長崎でも、地域を元気にしようとする動きが相次ぎ起こっている。例えば、波佐見焼での町の活性化、全国茶品評会での東彼杵町の日本一達成、長崎夜景の観光大賞受賞、V・ファーレン長崎のJ1昇格、ランタンフェスティバルの発展をはじめ数多い。

 これらに通じるのは、思いを元気にするきっかけづくりにつなげ、たくさんの方の知恵と行動でその時限りではない流れをつくり得たことだと思う。大事なのは、周りの変化を読み正しい方向の戦略を立て、良い結果をもたらすように具体化できるかである。地域・組織等が真に元気になる、良い結果が出るように持続する流れをつくることだ。

 ここで民間経済団体が主導して産学官連携で地域経済の維持浮揚を目指す「長崎サミットプロジェクト」の方向づけをする「第16回長崎サミット」(2月開催)を紹介し、現在の課題・方向性をお知らせするとともに、きっかけ・流れづくりの参考になればと思う。

 サミットは2部構成で進められた。第1部では計数推移も参考に現在このプロジェクトで動いている活動について報告され、産学官を代表するトップの方々より、新幹線、DMO(観光推進組織)づくり、交流の産業化、MICE整備(会議等の誘致)、情報発信、水産を含む海洋産業活性化、人材の地域への定着等に貴重な示唆を頂いた。

 第2部では地域における生産性向上について意見交換された。現在、産学官挙げて集中的に取り組んでいる「人財の地域への定着」で浮かび上がった大きな課題は、地域の給与・福利厚生等産業界・企業の受け入れ態勢、それを支える企業力の脆弱(ぜいじゃく)さである。

 当地域は所得・生産性いずれもわが国で低ランクに位置する。今、わが国では「生産性の向上」「企業価値の向上」がクローズアップされており、この機会を捉え当地域でも、この長年の課題解決に向け産学官挙げて取り組む方向で意見交換され、いくつかの貴重な示唆があった。その中でも長崎大学長より情報系新学部開設による地域サポートの意見は特記される。

 ここで出された示唆・方向性を基にこのプロジェクトの推進組織「長崎都市経営戦略推進会議」でアクションプラン化、PDCAにより具体化へ進んでいく。

 連携はやってみると確かに簡単ではないが、これからの難しい課題解決には力を合わせることだ。臆せず、きっかけづくりに踏み出し、流れをつくる工夫・努力を重ね、地域・企業を元気にする動きに自ら参加したいものだ。

 【略歴】さと・たかみつ 1946年長崎市出身。産学官のトップが地域経済活性化を議論する長崎都市経営戦略推進会議(長崎サミット)議長を務める。元十八銀行専務。長崎大経済学部卒。

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