【解説】メタルワン、西日本の系列3販社統合 強み持つ国内市場でプラットフォーム構築

 メタルワンは、同業他社に比べて国内に強いのが特徴。国内市場が成熟する中、鉄鋼商社の相次ぐ再編が進んでおり、将来を見据えて販売基盤の強化がテーマとなっている。

 発足以来の歩みの中で、メタルワン鋼管やメタルワン特殊鋼など品種によって分社化する動きを進めたことに加え、国内建材・鉄スクラップのメタルワン建材は三井物産と組んで合弁「エムエム建材」を展開、国内鋼管は住友商事との合弁を検討するなど、求心力よりは遠心力が働きやすい流れになっていた。

 品種専門性を高め、事業効率性を高める点で、こうした分社化や他社との再編統合は相応の意味合いと成果をもたらすが、一方でメタルワングループとしての一体感が薄まっていくことに対する危機感が今回の3社統合の背景にあったとみられる。

 西日本地域ではすでに、本体とグループ会社が同じビルの中にオフィスを構えてコミュニケーションを密にするようなオフィス集約を進めた。他社に比べて出遅れていた沖縄地域にも拠点を構え、中国・四国・九州を一体運営することで、サプライチェーンをより太く、強くすることを狙った動きと言える。 

 こうしたプラットフォームが構築されれば、人材の活用面でも柔軟な施策が取りやすくなる。地域専門性の高い人材育成も図りながら、国内販売において「ワンストップ対応」により、ソリューション機能を高めようとするメタルワングループの動向に注目したい。(一柳 朋紀)

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