活発な噴火活動が続く宮崎・鹿児島県境の霧島山(新燃岳)では、きょう12日も大きな噴石を飛散させる噴火が時々発生しています。12:45頃の爆発的噴火では、弾道を描いて飛散する大きな噴石が火口の中心から1200mまで飛散したほか、噴煙は最高で火口縁上3200mまで上がりました。
気象台では引き続き、火口から概ね4kmまでの範囲では弾道を描いて飛散する大きな噴石に、火口から概ね2kmまでの範囲では火砕流に警戒するとともに、火山灰や空振などに注意するよう呼びかけています。
■防災上の注意点
【火山性地震、火山性微動、爆発的噴火等の発生回数】(速報値含む)
火山性地震 火山性微動 爆発的噴火
2月28日 65回 2回
3月 1日 183回 継続
2日 101回 継続
3日 213回 継続
4日 320回 継続
5日 151回 継続
6日 517回 継続 18回
7日 799回 継続 16回
8日 221回 3回
9日 225回 13回 1回
10日 334回 20回 5回
11日 170回 3回 2回
12日(00~15時) 120回 3回 1回
【1日の火山ガス(二酸化硫黄)の放出量、火口外への溶岩流下距離】
火山ガス放出量 溶岩流下距離
3月 2日 2200t
7日 34000t
9日 1100t
10日 900t 約6m
11日 800t 約10m
12日 1300t 約6m
【火口周辺での警戒が必要な市町村】
・宮崎県 :都城市、小林市、えびの市、高原町
・鹿児島県:霧島市
【警戒・注意事項】
・警戒:(火口から概ね4kmまで)弾道を描いて飛散する大きな噴石/(火口から概ね2kmまで)火砕流
・注意:(風下側)火山灰、小さな噴石(火山れき)、火山ガス/空振による窓ガラスの破損/降雨時の土石流
■霧島山(新燃岳)火山活動の経過
<2017年>
・05/26 14:00 レベル1(活火山であることに留意)引下げ。
・7月頃から 霧島山の深い場所で膨張する傾向が認められるように。
・09/23から 火山性地震が日に10回以上観測されるなど次第に増加。
・10/04 現地調査で西側斜面の割れ目付近及び割れ目の下方で引き続き噴気と弱い熱異常域を確認。火山性地震は日に39回に増加。
・10/05 23:35 レベル2(火口周辺規制)に引上げ。
・10/06 1日の火山性地震の回数が163回に達する。
・10/09 15:12 火山性微動に伴う傾斜変動を観測。火山性微動は15:53まで観測された。
・ 22:21 火山性微動が連続して発生。
・10/11 05:34 噴火発生。火口縁上300mまで噴煙上昇も、噴石飛散はなし。
・ 11:05 レベル3(入山規制)に引上げ。
・10/15 19:00 火口周辺警報切替発表。噴火警戒レベル3は継続、噴石や火砕流の警戒範囲を火口から概ね3kmに拡大。
・10/17 00:30 この頃を最後に以降は噴火の発生なし。
・10/31 14:00 火口周辺警報切替発表。噴火警戒レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね2kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね1kmに縮小。
<2018年>
・01/15 火山性地震が一時的に増加、16~17日には火山性微動も計3回観測。
・01/31 現地調査では、新燃岳西側斜面の割れ目付近及び割れ目下方の噴気の状態や熱異常域の分布に特段の変化は認められず。
・03/01 08:15 火山性微動発生、以降継続。
11:00 山麓の宮崎県高原町付近で降灰との連絡あり。ごく小規模な噴火発生を確認。
17:40 火口周辺警報切替発表。噴火警戒レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね3kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね2kmに拡大。
・03/06 14:27 2011年3月1日以来となる爆発的噴火が発生、噴煙が火口縁上最高2300mまで上昇。爆発的噴火は以降も相次ぐ。
上空観測で、火口内の東側で新たな溶岩を確認。また、火口の中心及び北側付近から噴煙が上がっているのを確認。
22:01 爆発的噴火で、弾道を描いて飛散する大きな噴石の火口外への飛散がみられるように。最大700m飛散。
監視カメラで、火口内の溶岩の盛り上がりや火映を観測。
・03/07 06:15 爆発的噴火、噴煙が2011年4月3日以来となる火口縁上3000mに。
現地調査で、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が1日あたり34000tと急増。溶岩が火口内に上昇してきたことによるものと考えられる。
聞き取り調査で、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県の広範囲で降灰を確認。
・03/08 15:36 3月1日から続いていた火山性微動が停止。以降、振幅の小さな微動が断続的に発生。
・03/09 01:45 3月1日から続いていた火山灰を噴出する噴火が停止。
10:10 産業技術総合研究所が、火口の北西側へ流出する溶岩流を確認。
13:05 噴火が再び発生。
・03/10 未明に爆発的噴火2回。大きな噴石が火口外へ1800mまで飛散。噴煙は火口縁上4500mに。噴火の前後で、山体が隆起沈降する変動を観測。
05:05 火口周辺警報切替発表。噴火警戒レベル3は継続、噴石の警戒範囲を火口から概ね4kmに、火砕流の警戒範囲を火口から概ね2kmに拡大。
霧島市牧園町から実施した地形の観測で、火口北西側へ流出した溶岩が、1日で約6m流下しているのを確認。
現地調査で、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日あたり900tに。
高千穂河原観測点の傾斜計で、9日18:00頃から新燃岳方向がわずかに隆起する傾斜変動を確認。
18:11 爆発的噴火で、大きな噴石が火口外1600mまで飛散。噴煙は火口縁上2800mに。
・03/11 上空観測で、火口の北西側から幅約200mにわたって溶岩が流下しているのを確認。赤外熱映像装置による観測では、火口の北西側で溶岩の流下により、わずかに熱異常域が拡大。
・03/12 高千穂河原観測点の傾斜計で、9日18:00頃から新燃岳方向がわずかに隆起する傾斜変動がみられていたが、12日07:00頃から停滞。