神和アルミ工業、WJ切断用研磨剤「ガーネット」のリサイクル技術を確立 コスト削減、環境対応他社にも提案

 神和アルミ工業(本社・栃木県真岡市、社長・神保宗博氏)は、ウォータージェット(WJ)切断で研磨剤として利用するガーネットのリサイクル技術を確立した。リサイクル材の活用によりガーネット購入量を半減できるほか、消耗品の工具寿命も向上するなど大幅なコスト低減を実現。今後はこの技術を同業他社に広く提案するほか、加工設備メーカーとの技術提携も視野に取り組んでいく。

 WJ加工機で金属を切断する際には、水に研磨材となるガーネットを混ぜて切断能力を高める必要がある。切断後の水にはガーネットのほかにも加工対象物から出る摩耗粉などが含まれているため、再利用ができず一般的には産業廃棄物として廃棄されている。

 現在3基のWJ切断機でアルミやチタンの切断を展開している神和アルミ工業では、WJ切断由来の産業廃棄物が月10トン程度に達する。インドなどからの輸入に頼るガーネットの相場はトン当たり7万円程度。同社はリサイクル技術の確立がコスト低減につながるとして、3年前からガーネットの回収・再利用法の開発に着手。このほどリサイクル技術を確立した。

 神和アルミ工業は、切断後の廃ガーネット水から摩耗粉を分離しやすくする沈殿槽技術、ふるいと高水圧シャワーを利用したガーネット抽出の高精製法、ガーネットの乾燥技術を確立した。さらに異物と微粉を完全に除去するための摩耗粉吸引装置も開発し、一連の技術を組み合わせた簡易装置システムを作り上げた。「現在は手作業の簡易的なものだが、自動化することも可能。中小企業が取り入れやすい低価格を念頭にシステムを開発した」(稲葉隆技監)。

 なおガーネットのサイズはWJ加工前に100~500ミクロンだったものが、加工後には粉砕されて約7割が100~400ミクロン程度に粉砕される。神和アルミ工業では切断能力が維持できる100~250ミクロンサイズをターゲットに回収。「微細化されたガーネットを活用することで水を噴射するノズルなど工具の長寿命化にもつながった」(同)と指摘している。

 神和アルミ工業は、この技術を自社設備に横展開していくだけでなく、設備メーカー、同じ悩みを持つ加工業者などとの技術提携も視野に入れる。「WJ切断をする上でガーネットの再利用は大きな課題だった。技術を確立することはできたが、我々には設備として販売できるだけの能力はない。設備の自動化などの課題もある。リサイクル技術に興味がある企業と一緒に取り組むことができればと思っている」(神保社長)と語った。

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