前理事長5860万円横領か 第三者委が調査 横浜の社会福祉法人

 横浜市内で保育所を運営する社会福祉法人「ももの会」(戸塚区戸塚町)が市に対して虚偽報告をした疑いがある問題で、同法人は13日、第三者委員会による調査報告書を市に提出したと発表した。前理事長(68)が保護者らから徴収した約5860万円を個人名義の口座に入金するなど少なくとも計約7千万円の不適切処理が判明。第三者委は「横領罪が成立する可能性が極めて高い」とするなど、同法人や市は前理事長の刑事告訴や賠償請求も含め対応を検討する。保育所運営に当面変更はないという。

 問題発覚後、市は特別指導監査を昨年に実施したが、把握した不適切処理は約2100万円にとどまっていた。こども青少年局監査課は「行政監査では口座などの個人資産を強制調査する権限がなく、見抜けなかった」と釈明した。

 第三者委によると、前理事長はおむつ代や写真代など実費徴収の現金を自身の口座に入金。確認できただけで5860万円に上った。市の特別指導監査では、前理事長は約1100万円を理事長室に置いていたと説明していたが、第三者委は虚偽説明だったと指摘した。

 ほかに、保育所職員の勤務実態と異なる雇用状況表を市に提出するなどして、市の助成金など約1040万円を過剰請求。返納したが、市は詐欺罪や私文書偽造罪での告訴も検討する。

 同法人は市内計6カ所の保育施設を運営し、計約340人の園児が通う。前理事長は昨年11月に理事長を辞めたが、ほかの役員にも責任があるとして近く理事会を一新し、立て直しを図る方針。井島勇治理事長は「第三者委の報告を受け止め、全力で改善に努める」などと述べた。第三者委は昨年12月に同法人からの委任で設置。弁護士5人が同法人の役員や職員らにヒアリングするなど11件について調査と改善策の検討を行った。

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