アルミホットスタンプ技術、神和アルミが共同開発 加工時間大幅短縮、車材などに提案

 神和アルミ工業(本社・栃木県真岡市、社長・神保宗博氏)はプレスメーカーと共同でアルミのホットスタンプ技術を確立した。冷間鍛造法に比べてプレス回数を大幅に削減できるほか、難形状でも高精度成形が可能でダイカストからの代替も期待される。強度が求められる自動車部材などへの展開を視野に技術提案していく。

 ホットスタンプは、高温に加熱した金属をプレス成形すると同時に金型の中で急速冷却することで焼き入れし、高強度製品を成形する加工方法。アルミ材では500度以上に加熱してプレスする。同技術は自動車用の超ハイテン材などで実用化されている一方で、アルミ材では現在のところ量産車で実用化には至っていない。

 新技術の開発は、神和アルミ工業とプレスメーカーが共同で研究に着手。すでに同技術を活用し、自動車パネル材などに利用される高強度アルミ合金A6022材のヒートシンク用ジャケット(蓋)を制作した。

 ジャケットの製造では、冷間鍛造では成形に5~10回の多段プレスが必要になるが、ホットスタンプでは1度のプレスで成形できるまで技術を高め、加工時間の大幅な短縮を実現。またダイカストと比較しても、ホットスタンプの形状範囲であれば寸法精度や製品品質が優れるほか、成形後の切削加工が不要になる。主に量産品向けで生産効率の向上やコスト低減を確認した。

 技術開発を担当した稲葉隆技監は「自動車分野では電気自動車化が今後進んでいくとの予測の下、高強度アルミ材の加工方法として新たな技術を提案したい。どのようなニーズがあるのか、協力会社とともに需要開拓する必要がある」と説明。今後は、プレスメーカーと共同しながらアルミホットスタンプの事業化を目指す。

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