小鮎地区わな設置協議会 飯山観音で獣霊供養祭 イノシシとシカ42頭を弔う 厚木市

焼香するわな部会員たち=3月7日

 厚木市小鮎地区獣害対策わな設置協議会(=以下「わな部会」/堀江則之会長)は3月7日、飯山観音長谷寺で獣霊供養祭を行った。2013年のわな部会結成以来毎年開催しており、今年で6回目。

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 供養祭は、森林や農作物の獣害対策として、17年度にわな部会が駆除したイノシシとシカ計42頭を弔う目的で実施したもの。駆除地域は小鮎地区と七沢森林公園内。開会にあたり堀江わな部会長は「生かされ生きる自然循環のバランス維持のため捕獲した、獣霊の御霊に哀悼の意を捧げたい」とあいさつ。わな部会員たちのほか小林常良厚木市長、沼田力(つよし)神奈川県厚木土木事務所長ら23人の列席者が、米山住職の読経にあわせ焼香を行った。

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 わな部会が使うのは、市販品に改良を加えた「くくりわな」。仕掛けを踏むと、重みでバネが閉じて足が挟まる仕様になっている。

 わなを仕掛けるのは、厚木市が上荻野地区〜玉川地区間約25Kmにわたり設置している、獣害防護柵から人里側。わな部会員は、シカやイノシシが通る「けもの道」を探して深さ10cmほどの穴を掘り、くくりわなを埋め戻す。設置後は、誤って人が踏まないよう、わなを仕掛けていることを知らせる札で周知し、毎日確認に向かう。

 わなを仕掛けた翌日にかかることもあれば、1カ月経ってもかかった形跡がない場合もある。松野正剛わな部会副会長によると「まずは足跡を探すが、仕掛けは経験と勘に頼る部分が多い」という。イノシシとシカともに、1年間の捕獲頭数には制限がある。

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 わな部会は10年ほど前、小鮎地区の農作物被害の深刻化により発足した。会員は上飯山や白山、打越地区などから集まった14人からなり、平均年齢は約70歳。七沢森林公園では植栽の花芽が食べられたり、飯山グラウンドでは地中のミミズを狙うイノシシが芝生をすべて掘り起こすなどの被害によって、地域住民は悩まされてきた。

 七沢森林公園では、イノシシやシカの体に付着して園内に持ち込まれるヤマビル被害の増加を受け、12年度からわな部会に駆除を依頼。ヤマビルが生息する落ち葉のこまめな清掃と獣害駆除の相乗効果で、10年度には109件だった被害報告が17年度には8件にまで減ったという。

けもの道に穴を掘り、わなを設置する

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