竹中工務店、天井内蔵型を開発 「手術エリア免震システム」

 竹中工務店はこのほど、「手術エリア免震システム」を開発した。天井内蔵型の免震装置を介して手術エリア(手術室及び器材室)を一体的に吊り下げることで床・壁・天井の全てを免震化。これにより地震時に手術エリアの健全性を維持することが可能となり発災直後でも医療継続を実現できる。

 本システムは手術エリアの床・壁・天井を一体的なフレーム構造として、天井部の空間に設置する免震装置を介して吊り下げる構造形式。地震時には免震装置の働きにより手術エリアに伝わる地震力を大幅に低減する。床のみの免震に比べ高い気密性と清浄度を確保すると共に床の揺れ幅を気にせずに部屋の外周部にも医療機器などを置いて全体のスペースを有効利用できる。

 また、建物全体の免震化と比較してコストを大幅に低減。導入工事も容易で既存施設でも診療活動への影響が少なく、改修工事や将来的なエリア拡充での適用もできる。さらに、免震対象エリア外との床段差を180ミリメートル程度に抑制。既存手術室の改修工事においてもスロープなどでスムーズなアプローチが可能となる。これまでの大規模地震災害では天井や仕上げ材の損傷、医療機器の転倒などによる機能的な損害が医療提供の継続に大きな支障を与えた事例も報告されており、大規模な病院では建物全体の免震化が進んでいる。同社では本システムの適用により中規模病院の新築工事や既存建物の改修における手術エリアなどの免震化を支援し、さらなるBCP対策の強化を進めていく。また、クリーンルームなど気密性の維持が必要なその他の施設の免震化に向けても本システムを展開していく方針。

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