【炭化ケイ素パワー半導体の世界市場】2030年は8倍、2270億円に拡大

 富士経済は次世代パワー半導体の世界市場を調査し、「18年版次世代パワーデバイス&パワエレ関連機器市場の現状と将来展望」としてまとめた。それによると、2030年の次世代パワー半導体市場規模は17年比12・2倍の3570億円まで拡大すると予測。このうち、SiC(炭化ケイ素)パワー半導体は同比8・3倍の2270億円、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体は同比72・2倍の1300億円まで拡大すると予測した。

 30年のパワー半導体市場は、17年比72・1%増の4兆6798億円と予測。今後は民生機器、自動車・電装、産業分野が市場をけん引していくとみられ、特に自動車・電装分野は自動運転技術の進展による需要増加が見込まれている。

 SiCパワー半導体市場は情報通信機器分野やエネルギー分野が拡大をけん引しており、今後は電鉄車両や自動車・電装分野の伸びが期待されている。自動車・電装分野では、急速充電、車載充電器での採用が拡大する見通し。エネルギー分野ではパワーコンディショナでの採用が進展し、需要が増加していくとみている。

 GaNパワー半導体市場では、600ボルト帯以上の中耐圧領域向けでの製品ラインアップの拡充が進み、市場規模が着実に拡大しており、19年以降に本格的な需要増加が見込まれている。用途別では情報通信機器分野の需要が今後も中心となるが、20年以降は他の分野での採用も進むとみられ、工作機械や医療機器など高周波パルスが必要な電源回路での需要増加や自動車・電装分野での伸びも期待されている。

 また、次々世代パワー半導体として期待されている酸化ガリウム系パワー半導体は、18年後半から本格的に市場が立ち上がる見込みで、30年の市場規模は1450億円になると予測した。

 一方、パワー半導体の構成部材の世界市場は、30年に同比2・3倍の4249億円まで増加する見通し。パワー半導体の量産化の進展に伴い、構成部材の市場規模も拡大基調が継続するとみられている。

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