台湾球界が抱える課題、昨季WBCでベスト布陣組めず…その理由とは

ラミゴモンキーズ球団副代表・浦韋青氏【写真:篠崎有理枝】

ラミゴモンキーズ・浦韋青副代表に聞く昨季WBC不参加の理由

 2年連続4割を放ち、昨年は3冠王にも輝いた台湾の王柏融選手。17年に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、所属するラミゴモンキーズが大会への不参加を表明したため、侍ジャパン壮行試合にCPBL代表として出場し、WBCでの活躍を見ることができなかった。大会に不参加を表明したのは台湾4球団のうち、ラミゴモンキーズだけだったが、なぜWBCに参加しなかったのか。球団副代表の浦韋青氏に、その理由を聞いた。

 WBCは、台湾のプロ野球リーグであるCPBLの主導ではなく、アマチュア野球を統括するCTBA(中華民国棒球協会)の主導で行われたため、参加を見送ったと浦氏は話す。

「CPBLに所属する球団という立場である以上、CPBLが主導する国際試合にのみ選手を派遣するべきだと我々は考えています」

 2013年のWBCでは、CPBLがチーム編成や事前練習を任され、各球団の選手が出場。同時に選手の保険加入も行った。これはCPBLが選手の求めていることや調整方法を理解しているからだと浦氏は説明する。

 一方のCTBAは、選手にナショナルチームとして出場する栄光を与える代わりに、無償で大会に出場させているという。

台湾球界が抱える課題、球団として「防ぎたい」状況とは

「CTBAは球場使用料金も支払っておらず、補助金と収入を独占しています。さらに、選手に怪我などがあった場合には球団が全てを負担しなければいけない状態にあります。ラミゴとしては、こういった状況を防ぎたいと考えています」

 WBCやプレミア12など国のトップチームが参加する国際試合には、プロの選手が出場する。そのため、CPBLが主導するべきだというのが球団の考えだ。2017年11月に行われたアジアプロ野球チャンピオンシップは、CPBLの主導で行われたため、ラミゴモンキーズは選手を派遣し、王も出場。しかし、今後の国際大会はCPBLが主導することになるか、まだ確定していないという。

「新しい体育署大臣が就任して以来、CPBLはチーム編成、事前練習、試合出場・運営の全てを任せて欲しいと訴え、一旦は受け入れられました。しかし、大会参加についてCPBLが調整を進めている最中に、CTBAは試合に出場する主導権(チーム編成など)はCPBLに、試合を運営する権利はCTBAにあると主張してきました。現在この点が解決されておらず、前進することが出来ませんので、早急な問題解決を望んでいます」

 2020年の東京五輪は国内のリーグ戦期間中に行われるため、中断を余儀なくされる。そういった面でも、CPBLに全てを一任するべきだと浦氏は考えている。近年、日本球界と交流を深めている台湾球界。国際大会でもトップチーム同士の戦いが見られるよう、早期の問題解決が期待される。

(Full-Count編集部)

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