茅ケ崎市立小いじめ問題 市教委が第三者委に文書出さず 「いじめ認識」教諭発言後

 茅ケ崎市立小学校4年の男子児童(10)が同級生からのいじめが原因で約2年間不登校になっている問題で、市教育委員会が学校作成の文書を途中から、問題を調査していた市教委の第三者委員会に一切提出していなかったことが15日、分かった。提出されなくなった時期は、当時担任の女性教諭が学校の聞き取り調査に対していじめの認識があったと認め始めて以降で、市教委が問題を矮小(わいしょう)化しようとした可能性がある。

 関係者によると、女性教諭に対する聞き取りは2017年夏以降、継続的に行われた。

 その中で、女性教諭は同年11月10日までは「重大なことと認識しなかった」「遊びの延長だと思った」と説明。

 しかし、同11月28日に「男子児童が受けている暴力や暴言に対して、いじめだと思わないようにしていた」「たたかれたり、上に乗られたりしていたことに気付いていながら、見て見ぬふりをした」と、いじめと認識していたことを一部認めた。

 さらに同12月7日にあった学校と男子児童の保護者との話し合いの場で、女性教諭は「当時の校長に、いじめに気付かなかったとうそをついた」「子どもたちに『男子児童に何をしても担任は注意しない』と、いじめをしてもいいと思わせる空気をつくった」などと新たに発言。学校はこうしたことを受け、女性教諭がいじめ行為の詳細を表にまとめた資料に基づいた文書を、細かな手直しの度に市教委学校教育指導課に提出した。

 しかし、同課は、同11月28日以降の学校からの文書を市教委の第三者委に提出していなかったという。このため、今年2月にまとめた第三者委の調査報告書には、女性教諭にいじめの認識があったことや、女性教諭の対応、いじめ行為の詳細が反映されなかった。

 教育長は神奈川新聞の取材に対して「市教委が判断して文書を第三者委員会に提出しないということは、本来あってはならない。隠蔽(いんぺい)と捉えられても仕方ないような行為で、男子児童、保護者には大変申し訳ない」と話し、経緯を調査するとした。

 同問題を巡っては、今月2日、服部信明市長が調査報告書について「女性教諭の証言が十分に反映されていない」として、第三者委が追加調査をすることを明らかにしていた。

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