ヘイト根絶へ「強い意思」川崎市議会きょう決議採決

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市議会の全会派にあたる自民、公明、共産、民進みらいは定例会最終日の16日、「ヘイトスピーチの根絶に関する決議」を共同提案する。可決される見通し。ヘイトスピーチが行われる恐れがある場合、公的施設の利用を不許可にすることができるガイドラインの運用が今月末に始まるのを機に議会の意思統一を図り、「適正な運用を求め、ヘイト根絶への流れをつくりたい」としている。  決議では、ガイドラインについて「ヘイトスピーチの発生を未然に防ぐことができるものであり、市民の苦しみや混乱にも配慮しながら適正に運用されなければならない」と強調。「誰もが安心し、共に幸せな市民生活を送ることができる多文化共生社会の実現に向けて、ガイドラインの運用が適正に行われ、ヘイトスピーチが根絶されることを強く望む」としている。

 採決に先立ち15日に会見した松原成文議長は「行政と一緒にヘイト根絶へ取り組みたい。その強い意思を議会として示すもの」と説明した。

 ヘイト対策を巡っては、昨秋の市長選で福田紀彦市長が差別を根絶する条例の提案を公約に掲げて再選。市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は禁止規定と刑事罰を盛り込んだ人種差別撤廃条例を求める意見書を市と市議会に提出している。

 決議では条例制定について触れていないが、松原議長は「市長と議会が一体になって進めたい。大阪市や世田谷区などの類似条例を分析し、各会派、各議員、市当局と意見を重ねながら、相当早い時期に条例化したい」と話した。

 民族・国籍や性的少数者への差別を禁じる世田谷区条例の制定に尽力した上川あや区議を招き、議員研修会を開くことを検討しているという。

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