熾烈な競争を繰り広げる捕手陣、ドラ1中村も「割って入るにはよほど頑張らないと」
強力投手陣、伸び盛りの若手。リーグ3連覇を目指すカープには好材料が揃う。そして捕手陣のレベルの高さからも目が離せない。
「現状、経験では大ベテランの石原(慶幸)に勝る捕手はどこにもいないよ。他球団を見渡しても評価は高い。どんな時でも落ち着いているし、配球なども素晴らしい。ただ現在、最も試合に出ているのは會澤(翼)。ここ数年で、コンスタントに試合に出続けているのは大きい。やはり捕手というのは経験が最も重要なポジションだからね。打撃も良いし。その石原が形としてはバックアップ。これは本当に心強い。この2人はどちらが試合に出ても安心して見ていられるからね」
「2年目で若いけど1軍に帯同している坂倉(将吾)も良い。打撃は言うことないし、捕手としての技量が備わってくれば。そこに磯村(嘉孝)などもいる。新人の中村(将成)も本当に良いものをもっているけど、うちの捕手陣に割って入るにはよほど頑張らないとね。とはいえ捕手はケガも多いし、何人いても多過ぎるということはない。それだけ難しいポジションだから」
植田幸弘バッテリーコーチはうれしい悩みを語ってくれた。
良い捕手のいるチームは強い。これは野球がどんなに進化しても変わらない。これまで強豪と言われたチームを見てもレギュラークラスの捕手を数人抱えていた例は枚挙にいとまがない。安定した投手陣や機動力、強力打線が注目されるカープ。しかしチームをしっかり支えているのは捕手陣である。そこでの競争は熾烈を極める。これは80年代、水沼四郎、達川光男などの時代からの伝統だ。
17年シーズンは會澤が106試合、石原が77試合、坂倉が3試合に出場している。(代打なども含む)
レギュラーを目指す坂倉、好調を維持するベテラン石原
ドラフト1位指名の大物ルーキー中村とともに、将来のカープを担う捕手として期待されているのが坂倉。高卒1年目の17年は2軍ながらウエスタン2位となる打率.298をマーク。1軍でも初安打を放つなど、非凡な打撃センスを見せつけている。あとは捕手としての技術、配球、そして経験値の部分だろう。キャンプから連日のように鍛え上げられ、練習を上がってくるのも最後から数えた方が早い。練習終了後の日課には先輩たちのギア磨きもあった。
「1軍でのギア磨きは正直、楽です。汚れが少ないんですよ。技量があるというか、動きにムダがないから泥が付かないのもあるんでしょうね。それに比べると僕のはまだまだです」
「当たり前ですけどアマチュアとは比較にならない。フィジカル、技術、メンタル。とにかく打つだけでなく、捕手は守れないと意味がないのでね。少しでも上達するようにやるだけです。そうじゃないと試合には出られないですから」
リーグ3連覇を狙う強豪カープ。レベルの高い環境で日々、成長を重ねている。
ただ、そんな中で好調をキープしているのが17年目の石原だ。まずは坂倉が語っていたギアのことを聞いてみた。
「そんなこと言っていたの(笑)。それはわかんないなぁ。でもボールを止める時には身体を使わないといけないけど、1試合は長いからね。捕球だけでなくて止めるのにも技術が必要。そういった部分もあるのかなぁ」
「ここまでは本当に順調。まだまだ試合に出たいからね。経験を若い捕手に伝える立場というのはわかっているけど、僕もまだまだ現役ですから」
どのような組織でも競争があると強い。お互いが切磋琢磨することでレベルアップし、当然、チーム力も上がる。カープの強さの大きな要因の1つが捕手の充実度であるのがよくわかった。3月30日、開幕スタメンのマスクを誰がかぶっているのか、楽しみだ。
(Full-Count編集部)