認知症啓発にVR活用 全国初、18年度県立高で講座

 超高齢社会を迎え、県は2018年度、若年層への認知症啓発活動を前進させる。県立高校で仮想現実(VR)技術を活用した認知症講座を開設。公立高では全国初の取り組みで、疑似体験を通じ、高校生には想像しづらい認知症を身近なものとして捉えてもらう考えだ。

 県保健医療部によると、講座は福祉系のセミナーなどを展開する企業に委託し、初年度は5〜10校程度を想定。18年度当初予算案に関連経費として約348万円を計上した。

 想定するのは最先端技術を駆使した授業だ。装着するゴーグル型端末には、認知症患者の視野や幻覚症状を再現した映像が流れる。

 「例えばバスから降りる際に絶壁にいるような感覚。実感することで認知症についての理解を深めてもらいたい」と県の担当者。認知症患者のケアや、将来の発症率軽減に向けた生活習慣の改善につなげたいとしている。

 このほか、県内のプロスポーツチームと連携し、子どもと高齢者が一緒に行う運動プログラムの作成も計画。県は「未病」改善へ子どもからのアプローチを強化しており、黒岩祐治知事は「本県は全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進んでいる。全世代に対応しないといけない」と述べた。

 15日開かれた県議会第1回定例会予算委員会で、かながわ民進党・立憲民主クラブの松崎淳氏(横浜市金沢区)の質問に答えた。

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