メクル第257号 見てみて!おしごと 言語聴覚士 宮田千秋さん(28) 伝えたいこと、伝えられるように

 言葉の発達のおくれや発音の問題などでうまくコミュニケーションがとれない人たちに、訓練やアドバイスをしてささえる。「言葉のリハビリ」をする仕事です。

発音を指導する宮田さん。まねしやすいよう、向き合って、口をはっきりと開けます=長崎市、放課後等デイサービスあじさい浜町

 諫早(いさはや)市出身。県立諫早商業高を卒業後、バスガイドとして働きました。21歳(さい)のころ、障害(しょうがい)がある人たちと接(せっ)するボランティア活動を通して、言葉の発達におくれがある人をささえる仕事があると知りました。大村市の専門(せんもん)学校「長崎リハビリテーション学院」の言語療法学科(げんごりょうほうがっか)で学び、国家試験に合格(ごうかく)。言語聴覚士(ちょうかくし)として歩み始めました。
 病院勤務(きんむ)をへて、昨年8月から、障害がある子どもを放課後や休日にあずかる長崎市内の「放課後等デイサービス」で勤務(きんむ)。発達障害がある子どもたちへの「ソーシャルスキルトレーニング」を担当(たんとう)しています。これは、気持ちを理解(りかい)する、良い悪いを判断(はんだん)する、マナーや常識(じょうしき)、規則(きそく)を身につけるといったトレーニング。学校や家庭と力を合わせて、子どもたちの成長をサポートしています。

音楽に合わせ、ソーラン節をおどる長崎市立大浦小3年の平貴仁君。「はっ!」と大きなかけ声を出すことも、発音トレーニングになっています

 「さしすせそ」が言いづらいなど発音が困難(こんなん)な子には、音の成り立ちや舌(した)の動かし方を教えます。思っていることを話したり目の前の様子を伝えたりすることがむずかしい子には、「男の子が服を着る」「女の子がプレゼントをわたす」などの様子をえがいたカードを用いて訓練。くつ箱の近くに「くつをはく」と書いた紙をはるなど、動作といっしょに言葉を覚えられるよう工夫しています。
 障害は一人一人ちがいます。その子に合った指導(しどう)をしていくことで、はじめはむずかしかったことも、少しずつできるようになっていきます。伝えたいことを伝えられるようになり、自信がつくと、ほかの人のことも理解しようとします。みとめ合いながら、うまくコミュニケーションがとれるようになっていくと感じています。
 「楽しかった、また来たい」。子どもたちにそう感じてもらえるような居場所(いばしょ)にしたい。まだまだ認知度(にんちど)は低いですが、言語聴覚士を目指したいなという子どもたちがふえてくれるといいなと思っています。

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