「ヘイト根絶」決議 川崎市議会が全会一致

【時代の正体取材班=石橋 学】川崎市議会は16日、「ヘイトスピーチの根絶に関する決議」を全会一致で可決した。ヘイトスピーチが行われる恐れがある場合、公的施設の利用を不許可にできるガイドラインの適正な運用を市に求め、「ヘイト根絶へ議会としての強い意思」(松原成文議長)を示した。  決議は「ヘイトスピーチの発生を未然に防ぐことができるもの」とした上で「多文化共生社会の実現に向けて、ガイドラインの運用が適正に行われ、ヘイトスピーチが根絶されることを強く望む」と結ぶ。

 全国初のガイドラインの運用が今月末から始まるのを機に自民、公明、共産、民進みらいの全会派が共同提案。採決では無所属の三宅隆介氏が退席し、議場の56議員全員が賛成した。

 傍聴席から見届けた市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の崔江以子(チェ・カンイヂャ)さん(44)は「市民の代表である議会で根絶への強い意思が市民の総意として示された」と喜んだ。

 市内では在日コリアンを排斥するデモや集会、インターネット上の差別書き込みなどが横行しており、崔さんは「公的施設を貸さないだけではヘイトスピーチはなくならない。大本の差別を本気で止める条例が次に求められている」。

 6月には差別の扇動を繰り返している極右政治団体「日本第一党」最高顧問の瀬戸弘幸氏が集会を予告している。やはり傍聴した市民ネットワークの志田晴美さん(49)は「市は決議の重みを受け止め、毅然(きぜん)とした対応で差別を食い止めなければならない」と話していた。

© 株式会社神奈川新聞社