歌で盛り上げる酒の席 流しの渡辺健悟さん 川崎市高津区

たまい本店前でギターを構える渡辺さん

 酒場などでギターを抱えて客に歌を披露する流し。今では珍しくなったそんな光景が、溝口のたまい本店で楽しめる。

 東京都在住の渡辺健悟さん(44)は不定期で演奏しに来る。以前から吉祥寺などで活動し、昨年10月に同店に誘われた。溝口について渡辺さんは「音楽大学があったり、ベッドタウンだったりと年齢層が広いので、歌う曲も様々」と話す。

 曲は依頼に応えるために演歌からポップス、洋曲まで幅広く用意。流しを始めた2015年から毎日1曲は増やし、今では600曲に。「持ち歌がこれだけ多いと、依頼のほとんどない曲もあって、たまにお願いされると慌てます」と笑う。

 きっかけは11年に勤めていたバーでギター演奏をしていたところ、ある客に注目され、都内のイベントに流しとして誘われたこと。その後も同じイベントに呼ばれ続けた。15年に流しの知り合いに「本格的にやらないか」と言われ、転職を繰り返していた生活から、流しになるとを決めた。

 その後はバーで培った接客術を生かし、客や店の雰囲気に合った演奏を心掛けた。たまい本店の野田薫さんは「たまいの曲を歌いながら店に来ることもあり、お店の雰囲気づくりに貢献してくれている」と話す。

 「3年もやっていて飽きない仕事は初めて。天職だと思っています。死ぬまで流しで食べていきたいですね」と話す渡辺さんは今夜も居酒屋を歌い歩く。

 渡辺さんの予定はホームページ(kengobaixo.wix.com/wkbv)で確認できる。

© 株式会社タウンニュース社