「共生」楽しく体感 横浜でイベント

 相模原の障害者施設殺傷事件を契機とし、「共生」の理念を広げるイベント「みんなあつまれ」が17日、横浜市中区の横浜赤レンガ倉庫周辺で始まった。障害者も健常者も垣根なく、音楽やアート、スポーツを楽しんだ。県などで構成する実行委員会の主催で、18日まで。

 会場では音楽ステージが展開されたほか、障害者事業所がパンや焼き菓子、手作り小物などを販売。大きな布に絵の具で描くワークショップや障害者スポーツ(パラスポーツ)の体験コーナーなども並んだ。

 四肢に障害のある人が車いすで競技するウィルチェアーラグビーのコーナーでは、来場者が競技用の車いすに乗って操作を体験。吉田みどりさん(48)=大和市=は「普通の車いすより小回りが利き、自分自身が動いているような感覚。タックルの衝撃もすごい」と笑顔で汗を拭った。

 アートコーナーでは、川崎市内の通所施設に通う山内健資さん(27)がキャンバスに動物を描いた。「馬」をリクエストした結果、ユニコーンを描いてもらった小林久美子さん(39)=横浜市保土ケ谷区=は「マニュアル通りではなく、独特の感性でかわいらしい」と笑顔。ダウン症の9カ月の息子を抱き寄せ「大きくなったらこんなふうに働いていけるんだと希望が持てた」と話した。

 イベントは2016年7月に県立障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件を受け昨年10月に開催予定だったが、台風で一部中止となっていた。黒岩祐治知事は「再開催できてほっとしている。一度限りでなく、共生の理念を浸透させていく取り組みが大事」と話していた。

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