女性目線で防災考える 平塚、「近助」の大切さ訴え

 災害を生き抜くために欠かせない自助と共助、その間をつなぐ「近助」の大切さを伝える女性防災コミュニティー講座が17日、平塚市追分の市勤労会館で行われた。市内外から95人が参加し、住民が取るべき行動や自主防災組織の役割などを実践的に学んだ。

 市と女性防災クラブ平塚パワーズの共催。

 講座ではまず、地震直後の身を守る行動(自助)と自治会などがベースとなる自主防災組織による活動(共助)の間に、向こう三軒両隣の助け合い(近助)が必要と強調。家族構成や健康状態などの情報を共有しておくことで、安否確認が円滑に進むといったメリットがあるとした。

 地震後、自主防災組織の役員らが中心となって立ち上げる救護班についても説明。がれきや家具の下敷きになって動けない被災者をジャッキで救出する方法を教え、参加者も実際に操作した。車いす使用者に配慮した避難誘導の方法や包帯代わりになるタオルの使い方なども助言した。

 被災者が命を守った後に過ごす避難所はプライバシーの確保が難しく、特に女性にとって大きな悩みになる。こうした点を踏まえ、段ボールを使った間仕切りやトイレの作り方を手ほどきし、男女別の仮設トイレの必要性も訴えた。新聞紙やポリ袋など身の回りにある材料を活用した防寒グッズなども紹介し、参加者は手に取って多彩なアイデアを学んでいた。

 1995年の阪神大震災で被災した経験のある主婦(39)は「トイレや間仕切りの作り方は、身近な物を使っていて想像しやすかった」と話していた。

 平塚パワーズの木村美江子会長は「近隣と顔の見える関係を築けば、助け合うことができる。それぞれの地域で生かし、いざというときに実践できるようにしてほしい」と今後の広がりに期待していた。

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