山口・神鋼次期社長、「信頼回復に全力」 「再発防止策」確実に遂行、成長戦略「引き続き推進」

 神戸製鋼所の社長に4月1日付で就任する山口貢副社長は16日、都内で就任会見を開き、品質データの改ざんなど一連の不適切行為について「安全性の検証を最優先に進めていきたい。全役員、全社員を挙げて、再発防止策を確実に遂行していくこと、ガバナンス、企業風土の抜本改革を進めることが私の責務」と述べ、信頼回復に全力を挙げる考えを強調した。現行の中期経営計画(2016~20年度)については、「素材系、機械系、電力の3本柱を軸とした成長戦略に何ら変わりはない」と語り、事業強化策を同時に進める考えも示した。

 山口次期社長は会見の冒頭、「多くの皆さまに大変ご迷惑をかけていることを深くおわびします」と改めて陳謝した。

 信頼回復については、再発防止策の確実な遂行に加え、「ガバナンス、マネジメントなどをしっかり正し、課題を克服していくことと、神鋼の理念・技術をベースとしたものづくり力によって確かな製品を安定的に供給していくことが重要」との考えを示した。

 中計で打ち出した成長戦略については、社長として陣頭指揮していく方針を示した。自動車など輸送機の軽量化ニーズに触れ、「神鋼は、鉄、アルミなどの素材技術に加え溶接技術などを持つ。これらのソリューション技術は大きな強み」と強調した。機械系についても圧縮機や水素関連ビジネスを軸に積極展開を継続する方針を示した。

 他社とのアライアンス(協業)、統合などについては「複合経営を敷いているので、会社全体での再編・統合は考えにくい」とする一方、各事業の強化にとって必要なら「アライアンス、M&A(合併・買収)は排除しない」と述べた。

 鉄鋼事業については、「収益力をいかに強化していくかが課題」と述べ、加古川製鉄所への上工程集約などによる効果を早期に出していくことが重要と強調。アルミ・銅事業については「不適切行為が二度と起きないよう再発防止策を徹底することが課題」と述べた。

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