山口次期社長会見の一問一答

――いつ社長就任の打診を受けたのか。

 「3月7日に川崎博也社長から『4月からやってほしい』と言われ、その場で受諾する旨を回答した。最初は驚き、この状況で大役を仰せつかっていいのか考えたが、こういう時だからこそ受けなければならないと思った」

――川崎社長はこれまでの会見で「(神鋼の)信頼は地に落ちた」と発言してきたが、現在の神鋼の立ち位置は。

 「一部で安全性の検証が残っており、信頼を回復したという状況にはない。ただ当社の技術を評価する顧客もおり、その期待に応えていかなければならない。社長という任を受けた限りは不退転の覚悟で臨みたいし、できると思っている」

――それぞれの事業部門が直面する課題は。

 「鉄鋼は昨年10月に上工程を加古川に集約したのをはじめ、収益力の強化に向けて一段とコスト競争力を高めていく。アルミ・銅は不適切行為の再発防止に向けた取り組みを進め、建機は昨年大きな貸倒引当金を計上しているが、いったん(市場動向が)下方になった時のリスク管理が挙がる。電力は真岡のプロジェクトの完遂と神戸3、4号機の着実な推進。機械は大型試験機をはじめ、これまで打ってきた将来への布石を踏まえ、その効果を出していきたい」

――新社長として自身の強みは。

 「20歳代で鉄鋼、30歳代で機械、40歳代以降は本社と経営企画、機械を行き来したが、主に仕事は企画畑を歩んだ。一方で役員になってからはラインマネジメントも経験するなど個人的には、神戸製鋼という会社を鉄、機械、本社から眺めてきた。事業部門に偏っていない、比較的に客観的に神戸製鋼の事業を見られるのではないか」

 「本社ではアライアンスやM&Aに携わってきた。上下関係なくさまざまな立場の方の思いや考えを理解し、説得してきた経験から、対話が非常に重要であると認識している。誠実に向き合うことで仕事は達成できると理解している」 

――取締役の選任について。

 「社外取締役の意見を聴きながら、私の意見も踏まえ、取締役会で決定する。社長就任の内定が急だったこともあり、川崎社長とも相談しながら決めたい」

――企業風土を変えるのに当たり、どこから手をつけるのか。

 「再発防止策の中にもあるが、人の固定化、縦割り組織などガバナンスの課題を克服するために、各事業所を訪れ、対話から始めたい」

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