大阪府吹田市の万博記念公園の太陽の塔は、耐震補強工事を終え、きょう19日から内部が一般公開されるが、その補強工事に吉田鋼業(本社・大阪府東大阪市、社長・吉田清氏)が携わった。
太陽の塔は、1970年に開催された大阪万博のシンボルとして、芸術家の岡本太郎氏がデザインし建造された。万博終了後も撤去されず残されたが、内部は非公開となっていた。それを内部の再公開に向け大阪府が中心となり寄付金を募り、耐震補強工事と展示物の復元を実施。入館予約の一般受付を開始した1月19日には申し込みが殺到し、オフィシャルサイトのサーバーがダウンし一時アクセスできないほどの人気だった。
今回の耐震工事は、大阪府から大林組が元請として受注し、吉田鋼業が鉄骨工事を請け負い、ファブリケーターの椚座建鉄が鉄骨加工を行った。耐震補強工事として太陽の塔の両腕より上の本体部分(鉄骨重量約61トン)のほか、両腕より下の鉄骨階段(同約37・2トン)、塔外部のエレベーター棟(同約3・3トン)などの鉄骨工事も行った。
耐震補強工事では、本体が前にお辞儀をしている形で傾いているため、柱となる丸パイプに梁のH形鋼を取り付けた部材は、それぞれ角度が違っていた。その部材を内部に持ち込み組み立て、実測し次の部材を製作するという工程で進めたため、本体の耐震補強工事だけで3カ月ほどかかった。
同社は、H形鋼を中心とした大手流通だが、03年に工事部を発足し鉄骨工事の請負もしている。吉田社長は「量を追うのではなく、難しくて手間の掛かる工事でも積極的にチャレンジし、技術を高め、ノウハウを蓄積していきたい」としている。