古河電工・小林社長、UACJ山内・岡田氏の退任要求 「新社長腕振るえる環境を」

 古河電工の小林敬一社長が16日都内で会見し、筆頭株主としてUACJの来期役員体制案に反対を表明したことについて説明した。石原美幸常務の社長昇格には賛成しつつも「人心を一新し新社長が業績改善に腕を振るうことができない」として会長に留任予定の山内重徳氏と副会長に就任予定の岡田満社長が引き続き代表権を持つ人事案を疑問視。山内・岡田両氏の退任を改めて求めた。

 併せて取締役・監査役に古河電工が容認する独立性のある人材を置く要求をしていると説明。「UACJとは今後もリスペクトし合える関係を望んでおり人事案の再考が願いだが、もし決着がつかなければ株主総会でいくしかない」とプロキシーファイト(委任状の争奪戦)を視野に入れている点を強調した。

 UACJでは事業の戦線が海外含め拡大する中、対外活動などをバックアップする意味から代表取締役3人体制を提案した。

 一方、古河電工では現行案は経営執行の責任者が不明確で新社長の意思決定に影響が出ると認識。さらに、古河スカイ・住友軽金属の統合シナジー創出やタイ・米国での海外大型投資の収益化が遅れる中、現トップの経営関与が続くことはUACJの持続的成長につながらないと判断した。

 山内・岡田両氏については取締役でない会長・副会長としてとどまる事にも反対する考えだ。また大型投資については「勝負には投資が必要だが、市場を見る前に武器(設備)をそろえるのは間違い。絶対的な自信がない限り市場と深く対話することが不可欠だ」と話した。

 敢えて公表に踏み切った点については、既成事実化しないこと、筆頭株主として現行案を容認しないことを広く示すためと説明。併せて出資比率の拡大など経営関与を大幅に強める方針はないとしたが「筆頭株主として対話する中で発展に向けた方策をアドバイスいていくことが当社の立ち位置」とコメントした。

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