諫干訴訟・漁業者参加認めず 「負けさせる方針」 開門派、結論ありきと強調

 国営諫早湾干拓事業の開門問題を巡る訴訟で、開門を求める漁業者側が申し立てていた「独立当事者参加」を福岡高裁が却下した19日、開門派弁護団は「司法と国との間で、われわれを負けさせる方針で合意ができている」と、国の方針を前提にした結論ありきの判断との疑念を強調した。開門反対派は「早く決着が付く方向に進んだ」と受け止めた。
 「負け判決が出ることが分かりきっていた」。開門派の馬奈木昭雄弁護団長は判決後の会見で、こう切り出し「国と裁判所が全く同じことをおっしゃる。極端に言うと文章表現まで同じ」と指摘。「今日の判決で終わるわけではない。開門するまでこの問題は解決しない。それを裁判所が分かるまで戦い続ける」と強気を崩さなかった。
 開門を求める諫早市小長井町の漁業者、松永秀則さん(64)は取材に「司法は死んだ。不当判決だ」と憤った。開門しないことを前提に基金で解決するよう勧告した和解案を、佐賀県有明海漁協が受け入れたことには「佐賀の漁協に対する国の圧力だ。外堀を埋めていき、(福岡高裁確定判決の)勝訴原告を追い詰めようとしている」と痛烈に批判した。
 一方の開門反対派は、「非開門」の和解案を示したのに続く同高裁の判断を評価。平成諫早湾干拓土地改良区の山開博俊理事長は取材に「もう訴訟はこりごり。漁業者も基金をうまく使って有明海再生につなげてほしい」と求めた。
 開門反対派弁護団の西村広平事務局長は「裁判所が非開門の方針を取っていることをあらためて示した」と受け止めを語った。農林水産省農地資源課の高橋広道室長は、有明海漁協に対し「苦渋の決断をしていただき、重く受け止めている」とコメントした。

「開門するまでこの問題は解決しない」と語る開門派の馬奈木団長(中央)ら=福岡高裁

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