漁業者の訴訟参加 却下 福岡高裁 「権利侵害されない」

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門を巡る訴訟で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は19日、開門差し止めを命じた昨年4月の長崎地裁判決を不服として漁業者側が申し立てた「独立当事者参加」を却下し、控訴を認めない判決を言い渡した。漁業者側は最高裁に上告する方針。
 独立当事者参加は、訴訟の結果によって権利が侵害されると主張する原告や被告以外の第三者が、当事者として訴訟に単独で参加するための法的手続き。
 訴訟は、開門しないよう求めた干拓地の営農者が国を相手に争い、国は地裁判決に控訴せず「開門せずに基金による和解」を図る方針を示した。補助参加人だった開門派は判決を不服として、独立当事者参加を申し立てて控訴していた。
 開門派は「1審で国が漁業被害に触れず、故意に敗訴した」と主張したが、西井裁判長は「(開門派が)訴訟の結果で権利が侵害される第三者に該当しない」と認定した。開門請求は、この訴訟と別に争うべきだとして、長崎地裁に移送する考えを示した。
 国は2010年の福岡高裁確定判決で下された「開門命令」と、「開門禁止」の相反する法的義務を負っている。

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