【MLB】“不良債権”処理&即放出のはずが…ドジャース復帰の強打者が定位置奪取へ

アピールを続けるドジャースのマット・ケンプ【写真:Getty Images】

ドジャースに復帰したケンプ、オープン戦はOPS.999と大活躍

 ブレーブスからドジャースに復帰したマット・ケンプ外野手が、レフトのレギュラーとして開幕を迎える可能性が高まっている。オフに成立したエイドリアン・ゴンザレス内野手とのトレードは“不良債権”処理のための契約と報じられ、ケンプはすぐにトレードに出されると見られていたが、オープン戦はここまで絶好調。かつてのスター選手が、輝きを放ったロサンゼルスで復活を遂げるかもしれない。

 ケンプはここまで15試合に出場し、打率.317、4本塁打、8打点をマーク。OPS(出塁率+長打率).999と好成績が並んでいる。レギュラーポジション確保に相応しい数字と言えるだろう。

 米スポーツサイト「ブリーチャー・レポート」は「MLBスプリングトレーニングでのポジション争いにおける勝者と敗者」と題して、複数球団の注目ポイントを特集する記事を掲載。ドジャースでは左翼争いが取り上げられており「12月にブレーブスからケンプを再獲得した際に、ドジャースの頭の中にはケンプをレギュラー左翼手として起用するという考えはなかったであろう」と指摘している。

 ドジャースとブレーブスのトレードは昨年12月16日に発表された。ドジャースはブレーブスからマット・ケンプ外野手をトレードで獲得し、代わりに一塁手エイドリアン・ゴンザレス、左腕スコット・カズミアー、右腕ブランドン・マッカーシー、内野手チャーリー・カルバーソンと金銭を送ることで合意。ただ、この取り引きが物議をかもした。

 4選手を放出したドジャースは、2年総額4300万ドル(約45億7000万円)の契約を残すケンプが加わったものの、今季の年俸総額がぜいたく税の対象となる1億9700万ドル(約210億円)を下回った。昨季まで5年連続で贅沢税の対象となり、毎年3000万ドル(約32億円)をペナルティーとして支払っていたが、今季課税対象から外れれば2019年以降に再び贅沢税の対象となった場合でも課税の割合が50%から20%に下がることになる。さらに、高年俸のケンプについても、引き取り手があればすぐにトレードに出すことを希望していると伝えられていた。

“不良債権”処理が目的のトレードには批判噴出だったが…ロバーツ監督が描く「大きな絵」

 一方、ブレーブスは今季年俸2150万ドル(約22億8500万円)だったゴンザレスを獲得直後に解雇。もっとも、トレードはゴンザレスがこの「移籍直後に解雇」という条件を受け入れ、トレード拒否権を放棄したから成立したもので、ドジャースでもブレーブスでもない新天地での再出発のチャンスを得た強打者はその後メッツに加入した。ブレーブスはカズミアー、マッカーシー、カルバーソンという戦力を獲得したものの、両球団がケンプ、ゴンザレスという“不良債権”化していたかつてのスター選手を“処分“するために成立させたような取引には、批判の声も上がっていた。

 ただ、ドジャースにとって“嬉しい誤算”とも言うべきか、ケンプはオープン戦で大活躍。一方で、25歳のジョック・ピーダーソンが打率.167、OPSは.477と絶不調で、ケンプのレギュラー奪取は現実味を帯びている。2003年にドラフト6巡目でドジャースに加入し、2011年には打率.324、リーグトップの39本塁打、126打点を記録しながら、その後は成績が落ちて放出された元スター選手が復活すれば、ロサンゼルスが大きな盛り上がりを見せることは間違いない。

 記事では、ケンプはこれまでよりも絞った体型でキャンプに現れたことに触れつつ、「セオリー通りであれば、ケンプは少なくとも外野のプラトーン候補に浮上するが、現実問題としてロバーツ監督はもっと大きな絵を描いているかもしれない」と指摘。レフトでの併用(プラトーン)ではなく、まさにレギュラー、主軸の一人として活躍する可能性があるというのだ。

 ロバーツ監督が、地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」の取材に対して「彼はこれまでも間違いなくプラトーン起用される選手ではなかった。マットに関しては、プラトーン起用は考慮されないだろう」と話していることも、同サイトは紹介している。30年ぶりの世界一へ、4年ぶりに復帰したベテランがキーマンとなるかもしれない。

(Full-Count編集部)

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