高橋洋子の『新世紀エヴァンゲリオン』関連曲やWinkの大ヒットで知られる作詞家が自選した2枚組作品集。北沢夕芸によるジャケットも、作品の深遠さを増幅する。
全30曲、女性アイドルからアニメや特撮ソング、更には大人の男女まで、幅広い楽曲提供に驚く。しかも、各歌い手に合った言葉を選び、作詞家の個性は一見隠しているようにも感じる。
しかし、聴き進めると2種類の楽曲が特に耳に残る。1つは、大地真央や少年隊、Rie ScrAmbleなど、情景をはっきりと歌うタイプ。そして、もう1つは、三浦理恵子や藤谷美紀など、繊細な声で揺れる恋心を歌うタイプ。この2種の代表格こそが高橋洋子とWinkであり、及川の貢献度の高さを確信した。また、どちらの作風も言葉は違えど「今を悔いなく生きよ」というメッセージが込められている気がする。
更に、中森明菜『原始、女は太陽だった』やWinkのアルバム曲などを掘り下げるのもオススメ。本作から、相手に合わせられる人が、実はすこぶる高い能力を有することを意識するようになるはず。
(ポニーキャニオン・3200円+税)=臼井孝