「無の時間、それが至福」 仏師 梶原瑞康さん 川崎市高津区

手のひらサイズから50cmほどの大きさまで。ホームページ(http://friendly.life.coocan.jp/butsuzo/index.html)ではこれまでの作品が見られる

 阿弥陀三尊像、十一面観音菩薩、不動三尊など、これまでに彫刻した仏像は60体を超える。

 制作したのは上作延在住の仏師、梶原瑞康(本名典夫)さん(72)=今号人物風土記=だ。「仏像を掘っている時は、無の時間。没頭できる至福の時」とその魅力を話す。

 梶原さんが仏像彫刻と出会ったのは13年前。会社の定年を控え趣味探しをしていた時だった。通信教育で技術を学び、4年前に「仏師」の称号を受け、現在は東京と千葉の教室の講師を任されている。今春は高津区文化講座の一講座も担当する。

 寺院や博物館、本屋へ足を運び、資料を集め、掘る仏像の正面、背面、両側面の設計図を書く。角材に写し、ひたすら彫り続ける。「線を書いては掘って、書いては掘っての繰り返し。根気がいるね」と梶原さん。朝9時から8時間、1体仕上げるために1カ月以上かかるという。

 梶原さんは「まずは3年。続ければ面白さや楽しさが見えてきます」と話す。

聖林寺十一面観音像を彫る梶原さん

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