奪三振率の大幅アップは現代NPBの象徴 今季の1500&1000奪三振達成は?

今季中の1500奪三振達成が確実視されているオリックス・金子千尋【写真:広尾晃】

NPB通算奪三振数5傑の奪三振率は?

 奪三振は、“ピッチングの華”といってもいいリザルトだ。三振をどんどん奪う投球は、胸がすく思いがする。NPBの奪三振記録を見ていこう。

【NPBの通算奪三振数5傑】()は活動期間 K9(奪三振率、9イニングあたりに換算した奪三振数)もつけた

1金田正一 4490奪三振(1950-1969)K9/7.31
2米田哲也 3388奪三振(1956-1977)K9/5.94
3小山正明 3159奪三振(1953-1973)K9/5.80
4鈴木啓示 3061奪三振(1966-1985)K9/5.99
5江夏豊 2987奪三振(1967-1984)K9/8.41

 1位は史上唯一の400勝投手の金田正一、2~4位までも300勝投手が並ぶ。江夏も200勝投手だ。すべて昭和の大投手。1位から4位までの投手の奪三振率は8以下。今の水準では三振をバッタバッタと奪う投手の数字とは言えない。上位5人の数字は、長いイニングを投げるうちに奪三振数も増えたと言えよう。

 NPB歴代で4000奪三振は1人、3000奪三振は4人、2500奪三振は8人、2000奪三振は22人、1500奪三振は52人、1000奪三振は146人だ。

 現役で1500奪三振をクリアしているのは3人。カッコ内は昨年の実績だ。

杉内俊哉(巨)2156奪三振 K9/9.28(1軍出場なし)
和田毅(ソ)1520奪三振 K9/8.27(34奪三振)
涌井秀章(ロ)1502奪三振 K9/6.56(115奪三振)

 杉内はNPB歴代14位に当たる2156奪三振を記録。K9も9を超え、極めて高いが、2015年以来1軍では投げていない。

今季、1500奪三振、1000奪三振の可能性がある投手は…

 現役投手で今季、節目の1500奪三振、1000奪三振をクリアする可能性がある投手を挙げていこう。

〇1500奪三振(過去52人)
金子千尋(オ)1494奪三振 K9/7.79 残6奪三振(141奪三振)
石川雅規(ヤ)1446奪三振 K9/5.08 残54奪三振(88奪三振)
内海哲也(巨)1440奪三振 K9/6.87 残60奪三振(34奪三振)
岸孝之(楽)1432奪三振 K9/7.59 残68奪三振(189奪三振)
能見篤史(神)1388奪三振 K9/7.85 残112奪三振(119奪三振)
上原浩治(巨)1376奪三振 K9/7.99 残124奪三振(50奪三振 MLBカブス)
松坂大輔(中)1357奪三振 K9/8.70 残143奪三振(1軍出場なし ソフトバンク)
メッセンジャー(神)1271奪三振 K9/8.45 残229奪三振(155奪三振)
中田賢一(ソ)1258奪三振 K9/7.84 残242奪三振(78奪三振)

 オリックス、金子は4月3日の本拠地開幕戦での登板が予定されているが、1500奪三振はその試合で達成される可能性が高い。現役最多勝のヤクルト石川もローテを維持すれば達成可能だ。楽天の岸は昨年キャリアハイの189奪三振。楽天に移籍してから奪三振率が急上昇している。岸も可能性が高いだろう。今季MLBから復帰した上原は救援での起用となるため、124奪三振は厳しいか。

〇1000奪三振(過去146人)
則本昂大(楽)991奪三振 K9/9.41 残9奪三振(222奪三振)
館山昌平(ヤ)982奪三振 K9/6.46 残18奪三振(3奪三振)
五十嵐亮太(ソ)873奪三振 K9/9.78 残127奪三振(28奪三振)
攝津正(ソ)859奪三振 K9/7.48 残141奪三振(21奪三振)
寺原隼人(ソ)832奪三振 K9/6.44 残168奪三振(28奪三振)
西勇輝(オ)821奪三振 K9/6.99 残179奪三振(88奪三振)

 4年連続の奪三振王、楽天の則本にとって1000奪三振は単なる通過点に過ぎないだろう。

 しかし、他の投手にとっては難しい数字だ。特に、ソフトバンクのベテラン3投手は前年の5倍以上の奪三振が必要になる。厳しい数字だが、現役生活を続行する上では、1つの目標になるのではないか。

 阪神の藤川球児は昨年71奪三振で1000奪三振を達成したが、昨年終了時点で1055奪三振に対して、イニング数はわずか811.2回。K9は11.7という驚異的な数字だ。

 速球に加え、フォーク、スライダー、チェンジアップなど空振りを奪う球種が増えた今の野球は奪三振率が高いのだ。今季はどんな奪三振記録が生まれるだろうか?

(Full-Count編集部)

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