注目集める「平塚市町内福祉村」豊田地区に18拠点目が誕生 平塚市

豊田町内福祉村の開村式の様子

先進事例として評価海外からも熱い視線

 平塚市が、地域互助の仕組み作りとして市内各地に設置してきた「平塚市町内福祉村」。松原地区に第1号となる松原地区町内福祉村が誕生してから今年で20年目を迎え、19日には18拠点目となる豊田町内福祉村が開設された。平塚独自の取り組みとして始まった福祉村の今を取材した。

 1996年5月、当時の吉野稜威雄市長の指示により福祉村構想が持ち上がったのが始まり。高齢化を背景に地域での支え合いが必要となる時代の到来を見越した当時としては珍しい取り組みだった。99年2月の松原地区を皮切りに各地で開設が進み、今月19日には18カ所目となる豊田町内福祉村(南豊田)が豊田分庁舎内に誕生した。

 福祉村は国や市の財源をもとに運営され「地域福祉コーディネーター」という地域に暮らす有志のボランティアが常駐する。多くは公共施設を活用しているが、アパートを間借りしている所も。高齢者だけでなく地域に暮らす人なら誰でも無料で利用できる。

 主な役割は2つ。一つは地域住民の身近な生活支援。ごみ出し、草刈り、自宅の電球交換などができない人からの依頼を受け、各拠点に登録されている「福祉村ボランティア」を派遣している。もう一つは「ふれあい交流活動」。独居高齢者や専業主婦らのニーズに応えるため、各所では手芸教室や将棋大会、子育てママのお茶会など多彩なサロン形式の催しが開かれている。

 15年の介護保険法改正に際しては厚生労働省が福祉村を視察。利用者だけでなく、ボランティア側も頭と体を使ったやりがいを伴う活動は健康寿命の延伸にもつながりうることから、住民主体による介護予防の先進事例として評価され、法改正の一要因となった。

 さらに、昨年度には高齢化が進むマレーシアの視察団も平塚を訪れるなど、構想から20年以上が経った今も福祉村は各方面から注目されている。

 介護保険法の改正により、介護保険特別会計から財源の移譲が可能となり、市が財政健全化に努めるなか、安定的に継続されている福祉村事業。17年度に福祉村を利用した人は延べ8万8847人で年々増加傾向にある。

 一方、昨年度のボランティア登録者数は前年度比16人増の1670人。市担当者は「若い世代の人たちにも積極的にボランティアに参加していただき、福祉村を存続していければ」と話している。

 市総合計画では、将来的に福祉村を25拠点まで増やす方針。

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