開幕後も好調続くか…過去10年のオープン戦最優秀防御率投手の命運は?

現在オープン戦3試合を投げ、防御率0.00のオリックス・西勇輝【写真:荒川祐史】

オープン戦成績とシーズン成績に因果関係はあるのか

 2018年のオープン戦も終盤を迎え、各チームともに新シーズンに向けた最後の調整が進みつつある。

 主力級の先発投手が登板するケースも多いが、過去にオープン戦の最優秀防御率を記録した投手たちを眺めると、必ずしも各球団のエース級ではないのが興味深いところだ。

 そこで、今回は過去10年のパ・リーグのオープン戦最優秀防御率の選手を紹介し、実際のシーズン成績と比較していきたい。

 過去10年のパ・リーグのオープン戦最優秀防御率投手のオープン戦成績と、シーズン成績は以下の通り。※所属は当時

【2008年】
武田勝投手(北海道日本ハム)
オープン戦:2試合0勝1敗 防御率0.82
シーズン:20試合8勝7敗 防御率2.96

【2009年】
清水直行投手(千葉ロッテ)
オープン戦:4試合2勝1敗 防御率2.57
シーズン:23試合6勝7敗 防御率4.42

【2010年】
渡辺俊介投手(千葉ロッテ)
オープン戦:3試合0勝0敗 防御率0.56
シーズン:26試合8勝8敗 防御率4.49

【2011年】
戸村健次投手(楽天)
オープン戦:3試合0勝0敗 防御率0.00
シーズン:8試合0勝3敗 防御率3.92

田中将大投手(楽天)
オープン戦:3試合0勝1敗 防御率0.00
シーズン:27試合19勝5敗 防御率1.27

【2012年】
下柳剛投手(楽天)
オープン戦:3試合1勝0敗 防御率0.82
シーズン:4試合0勝2敗 防御率5.29

【2013年】
ウルフ投手(北海道日本ハム)
オープン戦:5試合2勝0敗 防御率1.23
シーズン:22試合9勝6敗 防御率3.05

【2014年】
レイノルズ投手(埼玉西武)
オープン戦:3試合1勝0敗 防御率0.53
シーズン:12試合3勝7敗 防御率5.46

【2015年】
野上亮磨投手(埼玉西武)
オープン戦:3試合 0勝1敗 防御率0.82
シーズン:27試合 7勝7敗 防御率4.22

【2016年】
和田毅投手(福岡ソフトバンク)
オープン戦:3試合1勝0敗 防御率0.00
シーズン:24試合15勝5敗 防御率3.04

【2017年】
コーク投手(オリックス)
オープン戦:3試合1勝1敗 防御率0.96
シーズン:6試合2勝3敗 防御率4.56

2011年田中、2016年和田は好調維持も…

 2011年の田中投手は最多勝、最優秀防御率、最優秀投手(現在の最高勝率)の3冠に輝き、自身初となる沢村賞も受賞。24勝0敗という大記録を打ち立てた2013年に次ぐ好成績を収め、球界トップクラスの投手としての地位を不動のものにした。

 2016年は日本球界復帰初年度だった和田投手は圧巻のピッチング。シーズンに入ってからも好投を続け、見事に最多勝と最高勝率の投手2冠を獲得している。

 2008年の武田勝氏や2013年のウルフ投手も、主戦投手として活躍した前年に近い成績を残し、オープン戦での好調をシーズンに持ち込むことに成功している。

 しかし、シーズン前の好調から一転して不振に陥るケースも少なくはない。

 2009年の清水直行氏は前年に13勝を挙げており、エースとしての活躍が期待されていた。ところがシーズンに入ると、チーム全体の不振に引きずられたかのように最後まで調子が上がらず、不本意な1年に。最後まで往時の輝きは取り戻せなかった。

 2012年には、大ベテランの下柳剛氏が楽天の一員として臨んだオープン戦で健在ぶりを見せ付け、見事に開幕ローテーション入りを勝ち取った。しかし、公式戦ではかつてのような投球術を披露することはできず、同年オフに戦力外通告を受けている。

 2014年は埼玉西武の新外国人選手・レイノルズ投手が、出色のピッチングを見せた。期待が高まったが、シーズンでは振るわず。日本でのプレーは1年限りとなってしまった。

 昨年はオリックスの新外国人左腕・コーク投手が好投を披露し、来日1年目から投手陣の一角に割って入る期待が広がった。しかし、胸郭出口症候群に悩まされたこともあって本領を発揮できないまま日本を去ることに。現在はメジャー復帰を目指しているという。

 以上のように、オープン戦で好投した投手がシーズンに入ってからも活躍できるとは限らないのが実情だ。とはいえ、和田投手や田中投手のように公式戦でも好調を維持し、複数のタイトルを受賞するほど充実したシーズンを送ったケースも存在する。

 オープン戦の好成績を飛躍につなげる投手が現れるか、今から注目していきたいポイントの1つだ。

(Full-Count編集部)

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