日本鋳鍛鋼が緊急合理化、人員25%削減 19年度黒字化へ

 日本鋳鍛鋼(本社・福岡県北九州市戸畑区、社長・塩浦信男氏)は、主力の火力・原子力発電機器需要の急減に直面する中、人員削減に踏み切る。従業員約650人のうち25%を削減する計画で、4月末までに他社への出向により10%を削減し、2019年3月末までにさらに15%を削減する。現状の市場規模でも黒字を維持できる企業体質に変革し、現有の鋳鍛鋼製品の安定供給を維持しながら19年度に赤字脱却する計画で、中長期で現有製品に次ぐ新製品事業も開拓する。

火力発電低迷が直撃

 再生可能エネルギーへのシフトもあり、火力発電所向け機器需要は世界的に急減して、ピークの半分以下に縮小。重電業界ではシーメンス、GEなど欧米大手が先行する形で大規模なリストラに踏み切っている。

 日本鋳鍛鋼は火力・原子力発電用蒸気タービンロータ軸の世界最大手。タービンロータ軸を中核とする電力用鍛鋼品が売上高の約6割を占める。鉄鋼圧延用バックアップロールの規模拡大は進んでいるが、火力向けの落ち込みはカバーできず17、18年度は2期連続の赤字になる。

 18年度の固定費削減では役員数の削減、役員報酬減額幅の拡大、従業員の労務費削減も検討する。4月末までの人員削減では自社グループおよび他社への出向を進める。

 4月1日付で事業改革推進本部(本部長・塩浦社長)を新設し、全社横断の生産性向上、コスト低減を推進する。人員規模を縮小しても技術、品質、安全などの水準を維持・向上できるよう業務効率化も進める。同本部は他社との協業を含めて新製品事業開拓を加速する役割も担う。なお組織改正の一環で技術開発部は技術部に統合する。

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